E.P.O〜エルフのパパになった俺~

りょう

第51話Goodbye days⑤

第51話Goodbye days⑤
1
それから三時間ほど時間が過ぎ、陽介達が先に帰ることになった。

「えー、もう帰るんですか? 陽介君たち」

「ああ。最後の時間くらいお前達四人だけで過ごしたいだろ?」

「でも陽介君達と会えるのこれで最後なんですよ?」

「まあそうなるけど、俺達はもういいんだよ。文化祭でお前達と十分楽しい思い出を作らさせてもらった。だから寂しくなんてないし、またいつか会えると思ってるからな。なあ? 姉貴」

「当然よ。もう二度と会えないってわけじゃあるまいし、思い出ならいつでも作れるんだから、私達の事も忘れないでよね」

「勿論です。ローナだって忘れませんよね?」

「そこの男の人誰?」

「もう忘れられてる! てか、素で覚えてないだろお前」

「お姉ちゃん私眠い…」

「無視するなー!」

二人は最後までルシア達に笑顔を振りまいていた。本当は泣きたかっただろうに…。

「それじゃあな二人共」

「元気でね」

「はい! 陽介さん柚木さんもお元気で」

「元気でね。柚木お姉ちゃんと知らないお兄さん」

「せめて名前覚えてもらいたかったよ俺…」

最後は皆が大爆笑。

こうしてルシア達は陽介とローナに別れを告げたのであった。

また会えると信じて
2
陽介達が帰った頃にはすっかり夜も更けていて、パーティの後片付けを済ませると、皆ベッドへと向かった。

「なんかあっという間だったな今日一日」

寝室で二人きりになった俺と千代は、寝る前に少しだけ話をすることになった。なったというよりは、緊張して眠れないので彼女に話しかけたという方が近い。

「確かにそうかも。折角の楽しい旅行なのに、まさかこんな展開になるなんて私考えてなかった」

「ハハッ、それは俺もだよ」

ただの楽しい旅行が、まさかのルシアとローナの送別旅行になるなんて思ってもいなかった。いつかは来るであろう運命だとは分かっていたけど、こんなに早く来てしまうものなのだろうか?

「ねえ雄一君」

「何だ?」

「私と結婚して、本当の家族を作らない?」

「……え?」

彼女の言葉にしばらく思考が停止する。け、結婚? か、家族?

「えーー!」

そして思わず大声をあげてしまった。

「うるさいよ雄一君」

「いや、だってお前…、お付き合いとかからならともかくけ、け、結婚だぞ」

「お付き合いなら随分前からしているでしょ?」

「それは…そうだけど」

「それに私達はもう家族でしょ?」

「あっ…」

そっか、俺達もう家族なんだから驚く必要なんてないんだ。

「ね? だからちゃんと式も開いて、一生分の愛を誓おう?」

「一生分の愛って、何かかっこいいな」

「でしょ?」

一生分の愛か…。俺と千代が…。一度は離れ離れになったけど、これから何とでもなるだろうし、また新しい家族が俺にはできる。それって、どれだけ幸せ者なんだよ俺…。

「そ・れ・よ・り」

「それより?」

「さっきルシアちゃんとキスしていたけど、まさかあれは浮気?」

「え、あ、あれはそういうのじゃなくてな…」

「じゃあどういうの?」

「だからなその…」

「説明してもらうまで、寝かさないからね」

「そんな馬鹿なぁ~」

結婚する前に俺には色々問題がありそうだ。
続く

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