E.P.O〜エルフのパパになった俺~
第48話Goodbye days②
第48話Goodbye days②
1
「やっぱり戻るのか?」
「はい。お母さんとローナと一緒に、あの世界でもう一度一からやり直そうと思うんです」
「そうか…」
いつかは別れが来るとは分かっていたが、ちょと早い気がした。もう少し長く二人と過ごしていたかったが、彼女達が決めたことならば、俺はそれを止めない。
けど一人だけ、その別れを受け入れようとしないのが一人いた。
「そうか…じゃないわよ! どうして…どうしてこんなにも早く二人と別れなきゃいけないの? 私嫌だよ、また居場所を失うなんて嫌!」
「千代、わがまま言ってる場合じゃないだろ? それにまだ一日あるんだから、時間だってたっぷりある」
「これからだったのに…私達の家族はこれから始まろうとしていたのに…。こんな別れ方なんて私信じない。あんな偽物の母親に二人が惑わされているだけで、今からならなんとかできる…」
「いい加減にしろ!」
いつまでもわがままを言い続ける千代に、ついに俺の堪忍袋の尾が切れた。
「パパ?」
「人が一生懸命別れを受け入れようとしているのに、いつまでもわがまま言うなよ千代。そりゃああまりに早すぎる別れなのかもしれないけどな、別れってのはいつか来るものなんだよ。それを受け入れようとしなきゃ、いつまでもお前は昔のままのお前だぞ」
「そんなの雄一君だけには言われたくない! 雄一君だってあれから変わろうとしなかったじゃない!」
「ああ、確かに俺は変わろうとしなかった。だけどこれから変わろうと思う。昨日話しただろ? 拓也との件もちゃんと片付けるって」
「それは…言ったけども…」
「誰だって変わろうと思えば変わることができるんだよ。だから…二人をちゃんと笑顔で見送って
俺達も一歩踏み出していこうぜ、千代」
泣き崩れてしまっていた千代に手を差し伸べる。それを彼女はしっかりと握った。
「うん…私も頑張るよ。雄一君が頑張ろうとしているように…私も頑張る」
「その意気だ」
彼女を立ち上がらせ、ずっと放置してしまっていた二人の方に向き直る。
「ごめんな、少し時間とらせてしまって」
「いいんですよ。さっきのままだったら別れがよけいに辛くなってしまうんで」
「そっか…」
四人の間に長い沈黙が流れる。皆何を話せばいいか分からなくなっているのだろう。
(しょうがないな…)
「なあ三人とも、折角だしパーティ開かねえか?」
「パーティですか?」
「ああ。陽介と柚木も呼んでさ」
「あ、それ私賛成。二人を送り出すためにパーっと開こうよ」
「なんか楽しそう」
「そうですね」
「それじゃあ早速皆でパーティの準備に取り掛かるぞ」
『おー』
もうすぐやって来る別れの時
でもよく考えたら一生会えないわけでもない
ただ少しの間お別れするだけだ
そう、いつかは会えるんだ
いつかは…
続く
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「やっぱり戻るのか?」
「はい。お母さんとローナと一緒に、あの世界でもう一度一からやり直そうと思うんです」
「そうか…」
いつかは別れが来るとは分かっていたが、ちょと早い気がした。もう少し長く二人と過ごしていたかったが、彼女達が決めたことならば、俺はそれを止めない。
けど一人だけ、その別れを受け入れようとしないのが一人いた。
「そうか…じゃないわよ! どうして…どうしてこんなにも早く二人と別れなきゃいけないの? 私嫌だよ、また居場所を失うなんて嫌!」
「千代、わがまま言ってる場合じゃないだろ? それにまだ一日あるんだから、時間だってたっぷりある」
「これからだったのに…私達の家族はこれから始まろうとしていたのに…。こんな別れ方なんて私信じない。あんな偽物の母親に二人が惑わされているだけで、今からならなんとかできる…」
「いい加減にしろ!」
いつまでもわがままを言い続ける千代に、ついに俺の堪忍袋の尾が切れた。
「パパ?」
「人が一生懸命別れを受け入れようとしているのに、いつまでもわがまま言うなよ千代。そりゃああまりに早すぎる別れなのかもしれないけどな、別れってのはいつか来るものなんだよ。それを受け入れようとしなきゃ、いつまでもお前は昔のままのお前だぞ」
「そんなの雄一君だけには言われたくない! 雄一君だってあれから変わろうとしなかったじゃない!」
「ああ、確かに俺は変わろうとしなかった。だけどこれから変わろうと思う。昨日話しただろ? 拓也との件もちゃんと片付けるって」
「それは…言ったけども…」
「誰だって変わろうと思えば変わることができるんだよ。だから…二人をちゃんと笑顔で見送って
俺達も一歩踏み出していこうぜ、千代」
泣き崩れてしまっていた千代に手を差し伸べる。それを彼女はしっかりと握った。
「うん…私も頑張るよ。雄一君が頑張ろうとしているように…私も頑張る」
「その意気だ」
彼女を立ち上がらせ、ずっと放置してしまっていた二人の方に向き直る。
「ごめんな、少し時間とらせてしまって」
「いいんですよ。さっきのままだったら別れがよけいに辛くなってしまうんで」
「そっか…」
四人の間に長い沈黙が流れる。皆何を話せばいいか分からなくなっているのだろう。
(しょうがないな…)
「なあ三人とも、折角だしパーティ開かねえか?」
「パーティですか?」
「ああ。陽介と柚木も呼んでさ」
「あ、それ私賛成。二人を送り出すためにパーっと開こうよ」
「なんか楽しそう」
「そうですね」
「それじゃあ早速皆でパーティの準備に取り掛かるぞ」
『おー』
もうすぐやって来る別れの時
でもよく考えたら一生会えないわけでもない
ただ少しの間お別れするだけだ
そう、いつかは会えるんだ
いつかは…
続く
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