E.P.O〜エルフのパパになった俺~

りょう

第47話Goodbye days①

第47話Goodbye days①
1
しばらく三人だけにしてあげる為に先に部屋に戻ると、まだ調子が悪そうな千代が机に伏していた。

「調子が悪いなら、まだ寝てろよ」

「ううん大丈夫。それよりお腹減った」

「そうか。じゃあ軽い朝食作るよ」

「お願~い」

千代が伏しているテーブルに背を向けて、俺は軽い朝食を作り始める。さっきは料理の途中で外に出たので、その途中から作ることになる。

「ねえ雄一君、ルシアちゃんとローナちゃんは?」

調理開始してすぐに異変に気づいたのか、千代が話しかけてくる。

「もう少ししたら戻ってくると思う。多分」

「多分って何? もしかして何か大変な事でも起きたの?!」

後ろから立ち上がる音が聞こえるが、すぐに座る音がする。恐らくまだ酔っていて、立ち上がることができないんだろう。

「無理そうなら寝てても大丈夫だぞ?」

「だから平気だってば。それよりも私の質問に答えて雄一君。私が寝ている間にあなた達になにがあったの?」

「…」

正直これから話すことは彼女にとって辛いことだし、話す俺も辛い話だ。だから相当な覚悟が必要になってくる。

(でも黙っているってわけにもいかないし…)

ここは一つ腹をくくるしかないようだ。

「驚かないで聞いてほしいんだが」

「うん」

「多分だと思うけど、近い内ルシアとローナと別れることになると思う」

「…え?」
2
俺は千代に今朝あったことを全て話した。ルシアが元の世界に帰ろうとしていたこと、二人の母親が再び現れたこと、そして…全てが終わったこと。

「それってつまり…」

「ああ。親子の間にあった溝が埋まったから、もう家出する必要なんてなくなる。つまり二人は…」

「元の世界に帰る…ってこと?」

「ああ。寂しくなるけどそれが事実だから…」

「そんな…嫌よ雄一君。ようやく自分の居場所が見つかったって思ったのに、このまま四人で暮らしていけると思ったのに、こんなの…嫌だよ私」

「俺だって別れるのは辛いよ。けどな千代、二人が一歩前に踏み出したように、俺達も歩き出さなければならない。それを教えてくれたのはお前自身じゃねえか。だから…」

「私だってお二人と別れるのは辛いですよ」

なんとか千代を説得している最中、どこからかルシアの声が聞こえた。
声がした方に視線を向けるとそこにはルシアとローナが立っていた。

「ルシア、お前戻ってきたのか?」

「はい。お二人にちゃんと…お別れを言おうと思って」

「お別れってお前…」

「私達、明日元の世界に戻ろうと思います」

やっぱり…。
続く

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