E.P.O〜エルフのパパになった俺~
第45話母と娘、再び会う時
第45話母と娘、再び会う時
1
今まさにルシアの想いに答えを出そうとした時、突如俺達の目の前に現れたのは、ルシアとローナの実の母親であるルナだった。
「何でお前がここにいるんだ?」
「何でって勿論私の子供を取り戻しにきたからよ。 いい加減こんな茶番を続けたくないし」
「茶番ってな…。お前にこいつらの何が分かるんだよ!」
「分かるもなにも、この子達の母親は私。一番の理解者でもあるのよ? むしろあなた達の方が分かっていないのじゃないかしら?」
「そ、そんなことない。俺も千代だって二人のことを理解しているつもりだ」
「つもりって言っている時点で、何にも分かっていない証拠よ。さあルシア、ローナ、いい加減家出なんかやめて元の世界に帰りましょう。ルシアは帰りたいんでしょ?」
「わ、私は…」
「ルシアお前本当に迷っているのか?」
「そ、そうじゃないんですけど」
どうすればいいか分からなくなっているルシアは俯いてしまう。ローナはというと…。
「…」
何故かずっと黙っていた。朝から何でこんな状況にならなきゃいけないんだよ…。折角の旅行だというのに、雰囲気は台無しだし。もう何が何だか分からなくなってきている。だが勿論…。
「ったくあんたも懲りないよな。何でそこまでして連れ戻したいんだ?」
二人を守るという姿勢は何一つ変わらない。
「何でもなにも、私の子供だからに決まってるじゃない」
「実の子供に対して、育児放棄していたような奴が、親だなんて言えるのか?」
「そ、そんなの関係ないじゃない。それに育児放棄だなんて、言い方が悪いじゃない」
「どこが悪いのか言ってみろよ! 実の父親を亡くしたあんたは、まだ小さかった二人をろくに育てようともしなかった。そっちの世界とこっちの世界の時間の流れかたは分からないが、長い間二人を放置し続けたあんたが、親だって名乗る資格があるのか?」
まさか自分の口からこんな言葉がでてくるなんて思っていなかった。でもそれは事実であり、ルナに対しての怒りの原因でもあった。
「あんた何でその話を…」
「ルシアに教えてもらったよ全部。あんたらエルフが住んでいる世界の現状と、ルシア達が置かれていた状況を」
文化祭の少し前に彼女から聞かされた話はどれも信じられるようなものではなかった。今ルシア達が住んでいる世界は、同族間同士の争いが激しく、世界が滅亡する直前まで追い込まれていた。その最中での父親の死、母親の育児放棄、こんなに明るい彼女達が抱えているとは思えないほどの話だった。
それなのにこの母親ときたら…。
「それなのにお前は二人を…」
もう抑えきれない所まで来てしまった怒りを彼女にぶつけようとした瞬間、俺の目の前に一つの影が現れた。
「も、もうやめて! パパ」
「え?」
それはなんとローナだった。
続く
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今まさにルシアの想いに答えを出そうとした時、突如俺達の目の前に現れたのは、ルシアとローナの実の母親であるルナだった。
「何でお前がここにいるんだ?」
「何でって勿論私の子供を取り戻しにきたからよ。 いい加減こんな茶番を続けたくないし」
「茶番ってな…。お前にこいつらの何が分かるんだよ!」
「分かるもなにも、この子達の母親は私。一番の理解者でもあるのよ? むしろあなた達の方が分かっていないのじゃないかしら?」
「そ、そんなことない。俺も千代だって二人のことを理解しているつもりだ」
「つもりって言っている時点で、何にも分かっていない証拠よ。さあルシア、ローナ、いい加減家出なんかやめて元の世界に帰りましょう。ルシアは帰りたいんでしょ?」
「わ、私は…」
「ルシアお前本当に迷っているのか?」
「そ、そうじゃないんですけど」
どうすればいいか分からなくなっているルシアは俯いてしまう。ローナはというと…。
「…」
何故かずっと黙っていた。朝から何でこんな状況にならなきゃいけないんだよ…。折角の旅行だというのに、雰囲気は台無しだし。もう何が何だか分からなくなってきている。だが勿論…。
「ったくあんたも懲りないよな。何でそこまでして連れ戻したいんだ?」
二人を守るという姿勢は何一つ変わらない。
「何でもなにも、私の子供だからに決まってるじゃない」
「実の子供に対して、育児放棄していたような奴が、親だなんて言えるのか?」
「そ、そんなの関係ないじゃない。それに育児放棄だなんて、言い方が悪いじゃない」
「どこが悪いのか言ってみろよ! 実の父親を亡くしたあんたは、まだ小さかった二人をろくに育てようともしなかった。そっちの世界とこっちの世界の時間の流れかたは分からないが、長い間二人を放置し続けたあんたが、親だって名乗る資格があるのか?」
まさか自分の口からこんな言葉がでてくるなんて思っていなかった。でもそれは事実であり、ルナに対しての怒りの原因でもあった。
「あんた何でその話を…」
「ルシアに教えてもらったよ全部。あんたらエルフが住んでいる世界の現状と、ルシア達が置かれていた状況を」
文化祭の少し前に彼女から聞かされた話はどれも信じられるようなものではなかった。今ルシア達が住んでいる世界は、同族間同士の争いが激しく、世界が滅亡する直前まで追い込まれていた。その最中での父親の死、母親の育児放棄、こんなに明るい彼女達が抱えているとは思えないほどの話だった。
それなのにこの母親ときたら…。
「それなのにお前は二人を…」
もう抑えきれない所まで来てしまった怒りを彼女にぶつけようとした瞬間、俺の目の前に一つの影が現れた。
「も、もうやめて! パパ」
「え?」
それはなんとローナだった。
続く
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