E.P.O〜エルフのパパになった俺~
第44話一番の理解者
第44話一番の理解者
1
「昨日私は、二人が出かけたのを見て、それが気になって後をついていってしまったんです」
昨晩のことを語り始めるルシア。別に影でこっそり聞いたことに関して俺は怒るつもりはないのだが、昨日俺とローナが話していたことって彼女本人の事だし、俺はもしかしたら彼女を傷つけてしまった可能性だってある。
「あ、あのさルシア」
「なんでしょうか?」
「昨日の話を聞いていたってことはさ…」
「あ、やっぱり気にしますよね。あれなら別に気にしていませんよ? 少し辛かったですけど…」
「嘘ばっかり」
「う、嘘ってどういう意味ですか!」
「だからさっきも言ったよ? お姉ちゃんは自分の気持ちから逃げ出そうとして元の世界に戻ろうとしているって」
「そんなの…ローナには分からないでしょ?」
「分かるもん。お姉ちゃんの妹だもん」
「いや分かってないですよ。私のことを分かっているなら、そんな事言えませんよ」
「分かっているから言ってるの! 私知ってるもん。お姉ちゃんがどれだけパパの事が好きで、どれだけ苦しんでいるのかを」
「ローナ…」
初めてローナが強気になっているところを俺は見た。それほど彼女は姉を思っているからこそ、言葉に説得力が生まれてくるのだろう。流石のルシアもどう反論すればいいか分からなくなっている。
「この際だからさお姉ちゃん、しっかりとケジメをつけようよ」
「ケジメを…ですか?」
「うん。今まで伝えられなかったんだから、ちゃんと伝えようよ。自分の気持ちにケジメをつけられたら、きっとかえりたいだなんて思わないと思うから…」
「そう…かな」
「私も本当は…だけど、お姉ちゃんの事は応援しているから」
「え? ローナあなたも…」
「ほらお姉ちゃん、本人がそこにいるわけだし」
「う、う、うん」
先程から放置されていた俺は、急に話がこちらに回ってきたので、あたふたしてしまう。てか今の会話、本人目の前にすることではないと思うが…。そんな事考えている内にルシアが目の前にやって来た。
「あ、あ、あの…。ぱ、雄一さん…」
「な、何だ?」
彼女は頬を赤らめながら何かを言おうとしている。さっきのシリアスシーンから一変、ラブシーンへと変わってしまった。なんかおかしくないかこの状況。何というかその…。
「ストップだストップ。どうしていつの間にかこんな展開になってんだよ」
「だってお姉ちゃん、このままだと自分の気持ちからずっと逃げる事になるし…」
「だからってな…」
いきなり告白される俺の身になってくれよ。しかも答えなんて分かりきっているのに…。わざわざ辛い思いさせる必要ないんじゃないか?
「私覚悟は出来ていますよ。 最初から私達は眼中になかったってことくらい知っていますから」
「ルシア…」
うーん、どうしてこうなってしまったんだ? 元の世界に帰ろうとしているルシアを引きとめようとしただけなのに、これじゃあ引き止めるどころか逆効果になるだけのような…。
「何を言えばいいか分からないけど、とりあえず一言だけ言うと…」
緊張しながらもルシアに答えを出そうと思ったその時、どこからか声が聞こえた。
「はいはい、くだらない茶番はそこまで」
「え?」
この声は…。
俺達は慌てて声の聞こえた方を見る。そこには…。
「お、お母さん?」
ルシア達の母親だった。
「お久しぶりね、ルシア、ローナ」
続く
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「昨日私は、二人が出かけたのを見て、それが気になって後をついていってしまったんです」
昨晩のことを語り始めるルシア。別に影でこっそり聞いたことに関して俺は怒るつもりはないのだが、昨日俺とローナが話していたことって彼女本人の事だし、俺はもしかしたら彼女を傷つけてしまった可能性だってある。
「あ、あのさルシア」
「なんでしょうか?」
「昨日の話を聞いていたってことはさ…」
「あ、やっぱり気にしますよね。あれなら別に気にしていませんよ? 少し辛かったですけど…」
「嘘ばっかり」
「う、嘘ってどういう意味ですか!」
「だからさっきも言ったよ? お姉ちゃんは自分の気持ちから逃げ出そうとして元の世界に戻ろうとしているって」
「そんなの…ローナには分からないでしょ?」
「分かるもん。お姉ちゃんの妹だもん」
「いや分かってないですよ。私のことを分かっているなら、そんな事言えませんよ」
「分かっているから言ってるの! 私知ってるもん。お姉ちゃんがどれだけパパの事が好きで、どれだけ苦しんでいるのかを」
「ローナ…」
初めてローナが強気になっているところを俺は見た。それほど彼女は姉を思っているからこそ、言葉に説得力が生まれてくるのだろう。流石のルシアもどう反論すればいいか分からなくなっている。
「この際だからさお姉ちゃん、しっかりとケジメをつけようよ」
「ケジメを…ですか?」
「うん。今まで伝えられなかったんだから、ちゃんと伝えようよ。自分の気持ちにケジメをつけられたら、きっとかえりたいだなんて思わないと思うから…」
「そう…かな」
「私も本当は…だけど、お姉ちゃんの事は応援しているから」
「え? ローナあなたも…」
「ほらお姉ちゃん、本人がそこにいるわけだし」
「う、う、うん」
先程から放置されていた俺は、急に話がこちらに回ってきたので、あたふたしてしまう。てか今の会話、本人目の前にすることではないと思うが…。そんな事考えている内にルシアが目の前にやって来た。
「あ、あ、あの…。ぱ、雄一さん…」
「な、何だ?」
彼女は頬を赤らめながら何かを言おうとしている。さっきのシリアスシーンから一変、ラブシーンへと変わってしまった。なんかおかしくないかこの状況。何というかその…。
「ストップだストップ。どうしていつの間にかこんな展開になってんだよ」
「だってお姉ちゃん、このままだと自分の気持ちからずっと逃げる事になるし…」
「だからってな…」
いきなり告白される俺の身になってくれよ。しかも答えなんて分かりきっているのに…。わざわざ辛い思いさせる必要ないんじゃないか?
「私覚悟は出来ていますよ。 最初から私達は眼中になかったってことくらい知っていますから」
「ルシア…」
うーん、どうしてこうなってしまったんだ? 元の世界に帰ろうとしているルシアを引きとめようとしただけなのに、これじゃあ引き止めるどころか逆効果になるだけのような…。
「何を言えばいいか分からないけど、とりあえず一言だけ言うと…」
緊張しながらもルシアに答えを出そうと思ったその時、どこからか声が聞こえた。
「はいはい、くだらない茶番はそこまで」
「え?」
この声は…。
俺達は慌てて声の聞こえた方を見る。そこには…。
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ルシア達の母親だった。
「お久しぶりね、ルシア、ローナ」
続く
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