E.P.O〜エルフのパパになった俺~

りょう

第43話離れたくなくて

第43話離れたくなくて
1
ルシアと離れ離れになりたくない、それは俺の本心であり他の皆の気持ちでもあった。この場にいなくたって、ローナや千代も同じことを言うはずだ。なんせ俺達は家族なのだから。

「なあルシア、もう一度考え直さないか? 家族のためだって思っても、それが違う時だってある。お前一人で解決しようとするだけじゃなく、もっと俺を、いや家族を頼ってくれたっていいじゃないか」

「でも私はパパやママにだって迷惑をかけました。これ以上誰かが傷つくところなんて
私見たくないんです」

それでも頑なに拒もうとするルシアに、俺は彼女の頭の上に手を置いて撫でてあげた。

「誰がいつ迷惑だって言った? 俺も千代も一度も迷惑だなんて思ったことないぞ?」

「言っていなくても私はそう思っちゃうんです。パパに至っては怪我までさせてしまったじゃないですか」

「確かに俺は怪我したけど、それは二人を守るためにとった行動だから、何の悔いも残っちゃいない」

「でもやっぱし私は…」

決意が固いのかそれでも揺るがないルシア。

(全く困ったやつだな…)

何で一人で抱え込もうとするんだよ。もっと周りを見渡せば、沢山の仲間がいるってのに…。

「お姉ちゃんは昔からそうだもんね。私に一度も相談なんてしたことがないし、私の気持ちも少し考えてほしい」

「え?」

次の言葉に困っていると、背後からローナの声が聞こえた。それに反応して俺とルシアは後ろを振り向く。

「ローナお前もう起きたのか?」

「昨日はちょっと眠れなかったから、早起きした」

「もしかして今の話、全部聞いてましたか?」

「お姉ちゃんが私を置いて、あっちの世界に帰ろうとしているって話は聞いた」

「それってほぼ全部じゃん」

「二人だけで話をしようとするから悪い」

「それは…そうだけどさ」

つくづく正論ばかり言うよなローナは。

「そんなことはどうでもいい。それよりお姉ちゃん、、私を置いて自分だけ逃げ出そうなんてずるいよ」

「ずるい? それはどういう事ですか?」

「そのままの意味だよ。自分の気持ちから逃げたいだけだって事、私分かるもん」

「そんな…。私は逃げてなんか…」

「だったらどうして、昨日の夜、影でずっと私とパパの話を聞いてたの?」

「え?」

昨日の夜ってルシアは確か酔っ払っ寝ていたはずじゃあ…。

「お姉ちゃん本当はお酒強いから、そんなに酔っ払わない体質なの。だから覚めるのだって早いし、少し眠りさえすれば普通に動ける」

「そんな馬鹿な」

すぐに覚めるってどれだけ酒に強いんだよ。じゃあまさか店で寝てしまったのって…。

「単に泳ぎ疲れて寝ちゃっただけ」

「そうだったのか…」

本当いろいろな意味で驚かされるよこの姉妹には。

まあそんな事はいいんだが…。

「なあルシア、昨日あの場にずっといたって本当か?」

それより大事な質問を彼女に問いかける。

黙っていたルシアから返ってきた返事は…。

「はい。私は昨日あの場にいました」

イエスだった。
続く

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