E.P.O〜エルフのパパになった俺~

りょう

第15話 前途多難な新しいクレープ

第15話 前途多難な新しいクレープ
1
夏休みを目前に控えたある日、文化祭の協力者全員の初顔合わせが俺の家で行われた。
「私が雄一君の元彼女の千代。二人とも初めまして」
「こ、これが雄一の元カノかつ幼馴染だと」
「き、綺麗な人…」
千代に対しての二人の反応はこの通り。誰も元カノという点にツッコミを入れる気がないらしい。
「なあ姉貴、これはあれだよな?」
「多分ヒヨコよね」
「違うぴよ。僕はペンギンのピヨぴよ」
『しゃ、喋ったぁぁ!』
ピヨに対してはこんな反応をみせた。まあ、初めて見る人は当然驚くよな、俺や千代も驚いたし。
「で、雄一、今日は何で集まったんだ?」
「そういえばまだ説明してなかったな。今回集まったのは他でもない、今まで誰も考えた事のないようなクレープを作るためだ」
「誰も考えた事のないような」
「クレープを作る、ですか?」
「ああ。折角の大学の文化祭だから、ここで一発面白いクレープでも作ろうかと思ったんだよ」
「ふーん、雄一にしては面白い事考えるわね」
「それは面白いかもしれませんね」
「だろ? じゃあ早速考えようぜ」
『おー!』
2
三時間後
「な、なあ雄一、俺もうお腹一杯で、今すぐにでもトイレに行きたいんだが」
「それは俺もだ陽介。けど、そこは我慢しろ」
「んな無茶な」
思いついたクレープを作っては食べるの繰り返しをしていた俺達のお腹は、既に限界を迎えていた。しかもどれもが失敗作。
トイレに行こうにも…。
「ちょっとルシア、早くトイレからでてぇ」
「すいません、まだ出れそうにありません」
ルシアが一度入ったっきり、出てこないという非常事態が発生。皆がもう我慢の限界を迎えているのに、一人でずっと入り続けられていると大変困ってしまう。
「だめ、私もう限界」
「馬鹿、この場で出すなよ絶対」
「そ、外に行ってトイレ探してくる」
柚木はものすごい形相で外へ出ていった。
「ああ姉貴、待ってくれよ」
それを追って陽介も出て行ってしまった。
「あいつら、あの勢いで家に帰りそうだな」
「そうね」
「てかお前は平気なのか? 千代」
「うん。危ないなと思ったのは食べなかったから」
「ったく…って、ローナも平気そうだな」
「私も同じ」
「そ、そうか」
この二人すごいなぁ。俺も今すぐトイレに行きたいところだが、ルシアがトイレに篭っているため、別のトイレを探さなければならないらしい。
(後で胃腸薬買っておくか…)
というわけで、第一回新作クレープ制作は失敗に終わってしまった。
                                         続く

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