E.P.O〜エルフのパパになった俺~

りょう

第14話 ローナの心を開け!②

 第14話 ローナの心を開け!②
1
家に帰った後、俺はローナを部屋に呼んだ。来てくれないと思っていたが、素直に来てくれたのは嬉しい事だ。
「話って何?」
「昨日の事で改めてお前に話をしたくてさ」
「話す事なんてない」
「俺があるんだよ」
「……」
陽介がアドバイスをしてくれた通りに、自分の素直な言葉を話す。
「朝も謝ったけど、昨日は本当に悪かった。無神経だった点もあるかもしれないけど、でもやっぱり俺はお前とちゃんとコミュニケーションが取りたい」
「私は嫌だもん」
「昨日も言っただろ? コミュニケーションを遮断したら、この先生きていけないって」
「それでもいい」
「お前はそうやって自分の姉を困らすのか?」
「っ!? そ、そんな訳じゃ…」
「ルシアだって心配してんだぞ、お前が他人とかかわらないようにしている事を。それでも困らせてないと言えるのか?」
「私は…」
ルシアがどれだけローナの事を心配しているのか俺は知っている。だからこそ、俺は彼女の手助けをしてやりたいと思えるし、ローナを無視する事なんてできない。
「お前の過去に何があったか分からないが、少なくとも俺は、いや俺達はお前の味方だ。すぐにじゃなくていい、少しずつでいいからもっと周りとの関わりを持とうぜ? そしたら見えてくる世界もきっと変わって…」
「嫌」
「今は嫌でもいいから、少しずつ変わろうな」
「嫌だ。私、もう誰も信じたくない」
「ローナ…」
やっぱり駄目かと諦めかけた俺にローナは次に予想外の言葉を発した。
「パパや、パパの友達以外誰も信じない」
「え? お前今なんて?」
今確かにパパって俺の事を…。
「何でもない」
聞き返したがローナはぷいとそっぽを向いた。
「お前、今俺の事をパパって…」
「言ってない」
「いや言っただろ?」
「しつこい」
「ぐぬぬ」
本当はもう一度聞きたかったが、本人は意地でも言いたくないらしい。
ま、いいか…。
「ったく、お前って奴は」
と思いながらも、感極まった俺はローナの頭を撫でた。
「あ、頭撫でないでよ」
すると何とも可愛らしい反応が返ってくる。こいつ、こんなに可愛かったか?
「このぉ、可愛いじゃねえか」
「や、やめてぇ!」
この時俺は気づいた。こんな性格のローナだけど、ちゃんとした女の子なんだって。
これは文化祭と夏休みが楽しいものになりそうだ。
そう考えると、何故か俺は吹き出してしまった。
「き、気持ち悪」
「うるせえ」
これで少しはローナ心を開いてくれたかな?
またこれで一歩前進っと。
                                                               続く

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