E.P.O〜エルフのパパになった俺~

りょう

第4.5話 初めてのプレゼント

 第4.5話 初めてのプレゼント
1
「え? 服三着しか持ってないのか?」

「はい。必要最低限の物しか持ってきていませんから」

「それは困ったな…」

二人が家に来てから二週間が経ったある日、いつも二人が同じ服しか着てなかった事に疑問を持った俺は、ルシアに尋ねたらそんな答えが返ってきた。

「私達は特に困ってませんけど、やっぱり駄目ですかね?」

「常識的に考えたら駄目だな」
服がないと言うなら、答えは一つなのだが、俺にセンスがあるのかは分からない。

「なあルシア、ローナ」

「何でしょうか?」

「………」

「お前達新しい服ほしいか?」
2
翌日、俺は二人を連れてデパートに来ていた。目的は勿論、二人に新しい服を買う為だ。

「本当にいいんでしょうか。服なんか買っていただいて」

「俺は一応お前達の父親だからな。服ぐらい買ってやらなきゃな」

「私、いらない」

「ほしそうな顔をしながら、そんな事言っても意味がないぞ」

「そんな顔してない」

「してるっての」

ローナはまだ不安そうだが、無視。今はどんな服を買うかだ。

「どんな服がいいって聞くのは野暮か」

「私達この世界の服なんて知りませんから」

「だよな。仕方ないから柚木に聞いてみるか」

携帯電話を取りだし、柚木に電話をかける。

「もしもし?」

「デートのお誘いならお断りよ」

「出て一番最初に言う事がそれかよ!」

「あれ? 違うの? 休日に電話がきたら、普通はそう思うわよ」

「まあ、それはいいとして、今ちょっと時間あるか?」

「ほらやっぱりデートのお誘いでしょ」

「お前に少し頼みがある」


「ふぅ、買った買った」

「いいんですか? こんなに買ってもらっちゃって」

「何度も言わすなって。これは俺からのプレゼントだ」

「プレゼント…ですか?」

「ああ。プレゼントだ」

あの後柚木から一通りのアドバイスをもらい、二人分の服を少し多めに買った。お金を結構使ってしまったが、二人は気に入ってもらえたからいいのかもしれない。ローナに至っては、もう着てしまっている。

「お前それ気に入ったんだろ」

「ち、違う。ただどんな服なのか気になっただけだもん」

「ふーん」

顔は明らかに嬉しそうだけどな。

「私がこれを着て、似合うでしょうか?」

一着のワンピースを取りだしながらルシアは不安そうに言う。試着させてみて、俺が一番気に入った服だ。

「大丈夫、似合ってるから。それは俺が保証する」

「本当でしょうか?」

まだ不安そうな顔をしている。今度柚木達の前で着てみたら同じ反応が返ってくるだろうな…。

「むぅ」

「勿論ローナもその服、似合ってるぞ」

「え、あ、べ、別にほめてほしいわけじゃない!」

「そうかいそうかい」

これで二人との距離少しは縮んでくれるといいなと、俺は心から願ったのであった。

ちょっと買いすぎたかな…。
                                         続く

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