E.P.O〜エルフのパパになった俺~

りょう

第3話 姉弟と姉妹

    第3話 姉弟と姉妹
1

「へえ、二人は姉妹なのか」

「はい。私達は年は離れてますけど、立派な姉妹です」

「本当偶然よね。私達も双子の姉弟なのよ」

「へえ、そうなんですか。じゃあ色々と苦労が絶えないですね」

「そうそう。うちの馬鹿弟は、馬鹿すぎて手が付けられないわ」

「本人を目の前にして、それを言うなよ」

最初二人がエルフである事に驚いていた柚木と龍介だったが、いつの間にか二人と慣れ親しんでいた。空気がピリピリするよりは格段に良いので、これはこれで嬉しいが、

「あのさ四人とも、俺を忘れて…」

「へぇ、その服はこの世界の伝統的な衣装なんですか。可愛いですね」

「伝統的ってほどじゃないけど、褒めてくれてありがとう」

「ほら、そこにいる子もこっちに来なよ」

「嫌!」

「何で?!」

肝心の俺を放置されては困る。

「あのさ、話で盛り上がるのは構わないんだけど、俺を忘れないでほしいんだけど」

「あれ雄一君、いたんだ」

「ここ俺の家だからな!」

「パパ、今帰ったんですか?」

「おい!」

「誰?」

「ローナ、お前その反応が本当だったら、殴るぞ」

「うわ、お前子供相手に容赦ねえな」

「怖いですパパ」

「誰のせいだと思ってんだ!」

疲れる…。ローナに至っては、俺を完全に他人扱いだし(元から他人だけど)、ルシア達に至っては意気投合しすぎて、俺のツッコミが追いつかない。これは最悪な組み合わせだ。

「お前らもう帰ってくれ…」

2
その日の晩、何とか嵐を乗り越えた俺はルシアをリビングに呼んだ。ローナは呼んでもどうせ来ないと分り切っているから、ルシアだけにした。

「あのさルシア、一つ聞いていいか?」

「何でしょうか?」

「何で二人はわざわざこの世界、というか地球に来たんだ?」

「それは自分達の新しいパパを探しに来ただけですよ。以前話しましたよね」

「本当にそれだけか? 正直怪しいんだが」

「その根拠はあるんですか?」

「勘というか、何というか。不可解な点ばかりがあるからな」

新しいパパを探すためにわざわざここに来る必要だってないし、パパが居ないとしても母がいておかしくないはずだ。

「そこら辺は想像にお任せしますが、私達は何も隠していませんからね」

「ふぅん」

信じていいのかは分からないが、今の所は嘘をついているようには見えない。今はそれでいいが…。

「もう一ついいか?」

俺にはもう一つだけ納得のいっていないことがある。それは勿論ローナに対する俺の態度。いくら人見知りとはいえ、あまりに酷すぎるような気がする。

「ローナに関しては、私からは何も言えません。多分パパの接し方次第ではないでしょうか」
「俺次第…か」

なかなか難しい問題かもしれない。
                                        続く

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