魔法少女はロジカルでマジカルに
最強狂乱劇 その②
一歩。播代浪は列車の狭い空間を加速していく。
対して天堂任―――
後方に光が集まり、人間の型を形成。
人形発動。
人型のビジョンが膨張を開始する。
列車の天井を突き破るのではないかと心配したが、ギリギリで巨大化はおさまり、逆に縮小していった。
そのサイズは真理が使っていた光人形と同じくらい。人並みのサイズになる。
加速してくる播代浪に向かい、光人形も加速していく。
その距離は瞬時に0へ到達する。
衝撃音。あるいは破壊音。
光人形の効果なのか、接触の瞬間は眩い光に覆われ、視界が途切れる。
視力が回復するまで感覚でおよそ5秒・・・・・・
4秒 3秒 2 1・・・・・・
ようやく、目が開かれる。
播代浪は列車の後方に―――
天堂任はさっきと同じまま、同じ態勢。
ただ、光人形は天堂任の背後に立っている。
5秒。おそらく、僕が視力を奪われた5秒間にも、幾度かの攻防が繰り広げられていたのだろう。
天堂任の衣服に僅かな裂傷が見られる。
播代浪は一見、無傷にも見れるが、僅かながら乱れた呼吸―――
目を凝らせば、皮膚の一部が赤色に変化している。
にらみ合う両者。まるで意思を持った暴風が、そこに存在しているようだ、
踏み込めば、巻き込まれれば、そのまま遠くへと弾き飛ばされるほどのエネルギーが両者に秘められている。
次に爆竹のような爆ぜる音が鳴り響き、両者が消える。 僕の動体視力の限界を超え、ついには肉眼でとらえられなくなる超スピード。
僕は何とか、感知魔法を補助に使い、両者の戦いを知覚する。
2人の戦いは、でたらめだ。
格闘技のセオリーにない動き。おそらく、格闘技以外にも、どんなスポーツの基本にも該当しないオリジナル性。
思い付きといってもいい。
こうすれば当たる。ああすれば受けれる。
ただの思いつき。そんなでたらめで理解不能な戦い。
播代浪が放つ上段回し蹴り。
それをしゃがんで避ける天堂任。
天堂任がカウンターではなった一撃は―――デコピン!?
播代浪。それを人差し指と中指の二本で受け止める。
天堂任、余った片腕を振るう。
通常の拳? いや、違う。よくよく見れば、拳ではない。確かに四本の指を折りたたみ、親指を添えて見える。だが違う---
伸ばそうと力をかけている四本指を親指で押さえ込んでいる。あれは親指でテンションをかけた四連続のデコピン。
しかし、不発に終わる。
投げなのか? 播代浪は抑えていた天堂任の指を捻りを加えながら上げた。
どういう力が加わっているのか、天堂任の体が天井へと浮上していく。
体を反転させ、天井に足から着地し天堂任の次の攻撃は―――いや、播代浪の背後に光人形がいる。
光人形は播代浪の後頭部へ向かい手刀を叩き付けようと振りかぶる。
しかし、放たれた手刀は空を切る。
手刀のスピードよりも速く、播代浪の頭部が下に沈む。
バク宙? いや、オーバーヘッドキックだッッッ!?
そのまま、足を光人形に叩き付けたまま、播代浪は前方を見つめる。
前方には天堂任が攻撃を繰り出そうとするタイミングであった。
戦いが始まってから、もはや何度目かの衝突音。
両者は空中でぶつかり合っている。どうやれば、空中で止まっていられるのだろうか?
体は地面と平行。真っ直ぐに伸びきっている。
頭突きの打ち合い? 一見、そう見える。
しかし、ぶつかっているのは額と額ではない。
顔面と顔面。人体の弱点ともの言える部分を互いに押し付けている。
鼻は軟骨が潰れているのだろう。
鼻と鼻を押し付けあった結果・・・・・・
ペッチャンコだ。
口と口も重なり合い、世界一攻撃的な接吻を行っている。
目は頬と額の骨が邪魔をしているのか、接触していない。
だが、骨と骨の軋みあがる音。
この状態が続けば、やがては、邪魔な骨は砕け散り、眼球同士がぶつかり合うのではないか?
そんな想像を思い浮かべてしまう。
嗚呼・・・・・・
どちらが喧嘩が強いとか、どちらの魔法が上なのか?
あるいは格闘技の勝ち負け?
そういう戦いではないのだ。単純な体のぶつかり合い。
生物として、どちらが強いのか。
そんなシンプルな力比べ。
それが、今、目の前で行われている。
対して天堂任―――
後方に光が集まり、人間の型を形成。
人形発動。
人型のビジョンが膨張を開始する。
列車の天井を突き破るのではないかと心配したが、ギリギリで巨大化はおさまり、逆に縮小していった。
そのサイズは真理が使っていた光人形と同じくらい。人並みのサイズになる。
加速してくる播代浪に向かい、光人形も加速していく。
その距離は瞬時に0へ到達する。
衝撃音。あるいは破壊音。
光人形の効果なのか、接触の瞬間は眩い光に覆われ、視界が途切れる。
視力が回復するまで感覚でおよそ5秒・・・・・・
4秒 3秒 2 1・・・・・・
ようやく、目が開かれる。
播代浪は列車の後方に―――
天堂任はさっきと同じまま、同じ態勢。
ただ、光人形は天堂任の背後に立っている。
5秒。おそらく、僕が視力を奪われた5秒間にも、幾度かの攻防が繰り広げられていたのだろう。
天堂任の衣服に僅かな裂傷が見られる。
播代浪は一見、無傷にも見れるが、僅かながら乱れた呼吸―――
目を凝らせば、皮膚の一部が赤色に変化している。
にらみ合う両者。まるで意思を持った暴風が、そこに存在しているようだ、
踏み込めば、巻き込まれれば、そのまま遠くへと弾き飛ばされるほどのエネルギーが両者に秘められている。
次に爆竹のような爆ぜる音が鳴り響き、両者が消える。 僕の動体視力の限界を超え、ついには肉眼でとらえられなくなる超スピード。
僕は何とか、感知魔法を補助に使い、両者の戦いを知覚する。
2人の戦いは、でたらめだ。
格闘技のセオリーにない動き。おそらく、格闘技以外にも、どんなスポーツの基本にも該当しないオリジナル性。
思い付きといってもいい。
こうすれば当たる。ああすれば受けれる。
ただの思いつき。そんなでたらめで理解不能な戦い。
播代浪が放つ上段回し蹴り。
それをしゃがんで避ける天堂任。
天堂任がカウンターではなった一撃は―――デコピン!?
播代浪。それを人差し指と中指の二本で受け止める。
天堂任、余った片腕を振るう。
通常の拳? いや、違う。よくよく見れば、拳ではない。確かに四本の指を折りたたみ、親指を添えて見える。だが違う---
伸ばそうと力をかけている四本指を親指で押さえ込んでいる。あれは親指でテンションをかけた四連続のデコピン。
しかし、不発に終わる。
投げなのか? 播代浪は抑えていた天堂任の指を捻りを加えながら上げた。
どういう力が加わっているのか、天堂任の体が天井へと浮上していく。
体を反転させ、天井に足から着地し天堂任の次の攻撃は―――いや、播代浪の背後に光人形がいる。
光人形は播代浪の後頭部へ向かい手刀を叩き付けようと振りかぶる。
しかし、放たれた手刀は空を切る。
手刀のスピードよりも速く、播代浪の頭部が下に沈む。
バク宙? いや、オーバーヘッドキックだッッッ!?
そのまま、足を光人形に叩き付けたまま、播代浪は前方を見つめる。
前方には天堂任が攻撃を繰り出そうとするタイミングであった。
戦いが始まってから、もはや何度目かの衝突音。
両者は空中でぶつかり合っている。どうやれば、空中で止まっていられるのだろうか?
体は地面と平行。真っ直ぐに伸びきっている。
頭突きの打ち合い? 一見、そう見える。
しかし、ぶつかっているのは額と額ではない。
顔面と顔面。人体の弱点ともの言える部分を互いに押し付けている。
鼻は軟骨が潰れているのだろう。
鼻と鼻を押し付けあった結果・・・・・・
ペッチャンコだ。
口と口も重なり合い、世界一攻撃的な接吻を行っている。
目は頬と額の骨が邪魔をしているのか、接触していない。
だが、骨と骨の軋みあがる音。
この状態が続けば、やがては、邪魔な骨は砕け散り、眼球同士がぶつかり合うのではないか?
そんな想像を思い浮かべてしまう。
嗚呼・・・・・・
どちらが喧嘩が強いとか、どちらの魔法が上なのか?
あるいは格闘技の勝ち負け?
そういう戦いではないのだ。単純な体のぶつかり合い。
生物として、どちらが強いのか。
そんなシンプルな力比べ。
それが、今、目の前で行われている。
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