魔法少女はロジカルでマジカルに

チョーカー

虚無を進む者

 連なる漆黒の闇。
 時折、星の瞬きのような極小の光の揺らめきが見えては消えていく。
 この列車は、宇宙を走る銀河鉄道ではない。
 一瞬、かの名作を未読でありながら、例えに使うのはいかがなものかと後ろめたさが脳裏によぎる。
 確か、幽霊と旅する話でいいんだよね?
 まぁいい。続けよう。

 もちろん、あの光の正体は星々などではない。
 では、あれ何なのか?そう問われても答えようがない。
 なぜならば、あれはまだ―――
 誰にも解き明かせていない未知そのものなのだから・・・
 まだ、誰も到達した者がいない未知の場所。
 もしかしたら、あの一つ一つが異なる世界そのものなのかもしれない。
 そう考えると、途端に気が重くなる。
 そう遠くない未来の世界。僕らは彼らと遭遇する。
 けれども、人間は分かり合えない生物である。
 僕らの存在そのものが害となる人々もいるだろうと容易に想像できてしまう。
 あるいは、その逆も―――

 それがわかっているから、僕らは他人ひとを理解しようとするのではないだろうか?
 決して、他人ひと他人ひとは分かり合えないものだから―――
 だから、僕らは他人ひとを理解しようとしているのだ。
 分かり合えないのだから、せめて僕らは他人ひとを理解しようと―――

 他人ひとの人格を―――
 他人ひとの性格を―――
 他人ひとの精神を―――
 心を 魂を 希望を 夢を 愛を 勇気を
 分からないのなら、分からないなりに

 「理解しようとしているのではないか?」

 無意識の内に、声が漏れていた。
 「そうか・・・・・・それが僕の魔法の正体だったのか・・・・・・」

 魔法を感知する僕の魔法。
 その正体は―――
 この根本にあるものは―――


 『他人を理解しようとする心』

 ここにきて、初めて自分自身を知った。
 ならば誇りに思おう。
 理解を超えた先には―――必ず―――

 ここで、僕の思考は停止を迎えた。
 来る。なにかが・・・・・・。
 何かが来る。
 僕の感知魔法が異常事態を告げる。 
 あまりの緊急事態を迎え、頭は考える事を拒否。
 神経が張り詰めていく。自然と肉体は戦闘体勢が整っていく。
 あまりにも規格外な緊急信号。場所は虚空の中を走る列車。
 一体、何が来るというのか?
 不意に眼球が動き出す。自分の意思ではなく、何かに吸い寄せられるように
 目が向かった先には窓がある。
 車両の―――ごく普通の―――外を見る―――景色を眺めるための窓だ。
 車内の灯かりが反射され、窓に映るのは自身の顔のみ。
 当たり前だ。窓の外は真の虚無。
 いや、その実、僕は窓の外がどのような世界なのか知らない。
 空気は存在しているのか?宇宙のように絶対零度の空間で放射能が降り注いでいるのかもしれない。
 わからない。わからないずくしだ。
 列車の線路が存在しているとこから、意外と地球と同じ環境なのかもしれな・・・・・・いた。
 外から、こちらをのぞきこんでくる黒い影。あれは本当に人間か?
 乗り物の取り付いて、事故を起こすといわれるグレムリンだといわれた方が、まだ信憑性が保てる。
 おそらく・・・・・・
 いまだかつてない敵がやってきたのだ。 

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