魔法少女はロジカルでマジカルに

チョーカー

『ソフトチェーン』の謎 その②

 『ソフトチェーン』の攻撃。光の閃光が襲ってくる。
 連射ができないのか、一撃一撃を丁寧に狙いを定めて放出してくる。
 そのおかげで、なんとか生き延びれている。
 事前のモーションから攻撃のタイミングを読むことができるのだ。
 僕は集中力を高めながら、中距離からの回避運動を続ける。
 『ソフトチェーン』の攻撃が驚異なのは、威力と速度を兼ね備わっているからだ。
 それに加えて射程距離の長さ。遠距離系の怖い所は射程距離の長さにある。
 下手に逃走を行って距離を取っても、逃げきれる保証はない。
 なぜなら、この攻撃は障害物を貫通してくるのだ。こうなってくると、森林の障害物は不利しか働かない。
 この状態で、相手に背後を見せ、全力で走るのは無謀以外の何者でもない。

 しかし、どうして攻撃方法が変わったのか?
 『ソフトチェーン』の攻撃を回避しながらも頭の回転は緩めない。
 回避運動への集中力は一定水準を保ちながらも思考を持続させる。
 確かに、魔法は1人1種類とは限らない。こちら側で言う機械の代用なのだから、むしろ複数持っていない方が正しいと言えるのかもしれない。
 だが、僕が相手をしなければならない魔法使いは、兵器の代用品のポジションである。
 魔法が技術である以上、その効果や威力は、練度によって左右されるはずなのだ。
 兵器の代用品になるほどの威力や効果を得るためにどれほどの犠牲が必要なのだろうか?
 そのレベルの魔法を2種類も有してる? 
 いや、それはない。それなら今まで戦ってきた相手と同格に位置づけられているはずがない。
 こいつ、1人が逸脱しているはずはないんだ。
 何か、自分の魔法を強化する方法があるのか?それとも、他の方法で魔法を変化させたのか?

 不意に、もう1人の『ソフトチェーン』に目が止まる。
 鼻が潰れている方の奴だ。双子の兄弟に殺されかけたショックか、戦意が消失している。
 もしも、コイツが万全の状態だったら完敗だっただろう。
 2方向から同時の遠距離攻撃を受けて、生き残れる自身はさすがに・・・・・・
 あれ? もしかして、こいつ等・・・・・・
 もう少し、もう少しで答えに手が届きそうになった瞬間、思考は中断された。
 高い集中力によって研ぎ澄まされた神経が異音を捕らえる。
 普段なら、気づかないレベルの雑音。それが徐々に

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 大地を揺るがす轟音へと変化して行く。




 

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