魔法少女はロジカルでマジカルに

チョーカー

『ソフトチェーン』撃破?

 放たれた一撃。
 見える。本来は不可視の攻撃がくっきりと見える。
 体感で言えばバッティングセンターの150キロより上くらいか?
 速度は速いが、避けれない速度ではない。
 それを横に跳び、難なく回避する。
 続けてくる二擊目も確認できる。
 僕は前に走りながら避ける。
 相手の攻撃は不可視だから有効的であり、攻撃暗殺向きなのだろう。
 だが、今はある方法で攻撃が肉眼でも確認が可能になっている。
 つまり、攻撃を繰り出す方向から相手の居場所も簡単に割り出せるのだ。
 3発、4発と避け、ついに相手の姿を捕らえる。
 僕は、そのまま飛びかかる。
 攻撃のモーションを封じるために両腕を掴み取り、そのまま押し倒す。
 『ソフトチェーン』は後頭部を打たないように地面の衝突の瞬間に首を浮かせる。
 だが、そのタイミング。
 重力に導かれ、僕は額を『ソフトチェーン』の顔面に叩き込んだ。
 「ベキッ」とまるで枯れ木の枝が折れる音が聞こえる。
 おそらく、鼻の軟骨が折れた音なのだろう。
 次第に『ソフトチェーン』の抵抗が弱々しくなっていく。
 だが、追撃。十分に頭を起こしてから2擊目。
 勢いをつけて額を打ちつけていく。
 3擊、4擊、5擊。
 完全に抵抗がなくなったのを見計り、立ち上がる。
 『ソフトチェーン』の顔面は血みどろだ。
 もっとも、その血の大半は、頭部から流血している僕の血液だったりもする。
 僕は立ち上がり、勝利を確信した後、背後を振り返った。

 「さて、これはどうしたものか」

 背後では轟々と草木が炎上していた。この火は僕がつけたものだ。
 支給された装備品の中にライターがあった。
 最もそれは、市販のライターよりも強力な特別製らしく、ライターと呼ぶより小型火炎放射器と呼んだ方がいいのかもしれない。
 僕は不可視の攻撃を見るために火を利用した。
 それは煙だったり、熱による空気の歪みだったり、火が照らす光だったり・・・・・・
 とにかく『ソフトチェーン』の魔法は火と相性が悪いのだろう。
 そんなことよりも、状況は悪化してると言ってもいい。
 治療どころか、このままだと蒸し焼け。いや、体が全焼しかねない。
 僕は失神した『ソフトチェーン』を抱え上げ、この森から走り去ろうとした。
 だが、そこで異変に気がついた。

 「雨? 天の恵か?」

 それにしては量が多い。まるでスコールだ。
 僕がつけた火はすぐに鎮火していく。
 それはいい。それはいいのだが・・・・・・
 その水が、まるで蛇のような形に変化して、僕の行く手を遮っているのはなんだ?
 まだ、この地に敵がいるという事なのか?
  

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