魔法少女はロジカルでマジカルに
天王寺類
朝の学校。早めに登校していた僕は机に伏せて仮眠を取っていた。
「おい、ルイルイ。起きろってばぁよ!」
「朝から変なあだ名で呼ぶなよ」
顔を上げると、親友の赤坂勇がいた。
「いやぁ、お前のファンの子に頼まれてさぁ。写真を撮らせてよ」
「はぁ?僕のファン?」
「ほれ、あれ」と勇が指差す方向を見ると女子生徒の2人組がいた。渡り廊下からこちらを覗いてキャッキャッと黄色い声を上げていた。スカーフの色を見る限り、下級生のようだ。
「なに?あれ?」
僕の容姿は間違ってもイケメンの部類に入る顔ではないはずだが・・・・・・。
自然と出てしまった自己評価に少しだけ気分が沈んでしまった。
「お前、文化祭でバンド組んでただろ?アレを見てファンになったらしいぞ」
「バンドって言っても僕の担当はタンバリンだった気がするのだが?」
「それが良かったんだってさ。お金のかかった衣装!キッチリと決めた化粧!そんな完璧なビジュアル系バンドの中で、1人だけ制服の場違いな奴がタンバリンを叩く」
「そうだったな。ちょっとした羞恥プレイだった」
「ところがサビになると、ボサっとした芋兄ちゃんがセンターでブレイクダンスを披露して。会場のボルテージはMAXに!そのギャップにやられてファンになったんだとよ」
「芋兄ちゃん言うな!ギャップって素直に喜べない!」
「そう言うな。写真代は頂いてあるんだから素直に撮られてくれ。あと何かパフォーマンスしてくれ」
「金取るとか、いつも通り最低だな」
思い出せば、バンドの演出もコイツが担当してたような記憶がある。
仕方がない。少しだけやってみるか。僕は教室の後ろ側に移動する。
クラスメイト達は、慣れた様子で僕をニヤニヤと見ている。
僕は上履きを脱ぎ、その上履きの上に足を乗せる。
2、3回と両手を振って勢いをつける。そのまま、垂直飛びのように高く飛び上がり、体を後方へ反る。足を抱え込み、そのまま一回転。視界が地面をとらえたら両足を伸ばして着地。
そして、着地した足の下に上履きがある。つまり、きっちり飛んだ場所に着地してみせたのだ。
それを見ていたクラス中から歓声が起きて、僕は手を振って答えた。
これは、有名な柔道家が若い時の特技だったらしく、それを聞いた頃、必死に真似して特訓したのだった。
しばらく、喝采を受けることになってしまった。
実のところ、今日は、早めに目が覚めてしまったので、早朝マラソンに10キロ走ってきたのだ。その為、想像以上の倦怠感に襲われてしまい学校で仮眠を取ると決めていたのだ。
僕は自分の席に戻り、再び仮眠を取ろうとした。
机に顔を伏せたとき、言い忘れに気がついて勇を呼び止める。
「やったんだから、今度は何か奢れよな」
これが、僕の、天王寺類の日常だった。この日までは・・・・・・。
今日、この後のホームルームで紹介される転校生によって、僕の日常は大幅に軌道変更されることになってしまったのだった。
「おい、ルイルイ。起きろってばぁよ!」
「朝から変なあだ名で呼ぶなよ」
顔を上げると、親友の赤坂勇がいた。
「いやぁ、お前のファンの子に頼まれてさぁ。写真を撮らせてよ」
「はぁ?僕のファン?」
「ほれ、あれ」と勇が指差す方向を見ると女子生徒の2人組がいた。渡り廊下からこちらを覗いてキャッキャッと黄色い声を上げていた。スカーフの色を見る限り、下級生のようだ。
「なに?あれ?」
僕の容姿は間違ってもイケメンの部類に入る顔ではないはずだが・・・・・・。
自然と出てしまった自己評価に少しだけ気分が沈んでしまった。
「お前、文化祭でバンド組んでただろ?アレを見てファンになったらしいぞ」
「バンドって言っても僕の担当はタンバリンだった気がするのだが?」
「それが良かったんだってさ。お金のかかった衣装!キッチリと決めた化粧!そんな完璧なビジュアル系バンドの中で、1人だけ制服の場違いな奴がタンバリンを叩く」
「そうだったな。ちょっとした羞恥プレイだった」
「ところがサビになると、ボサっとした芋兄ちゃんがセンターでブレイクダンスを披露して。会場のボルテージはMAXに!そのギャップにやられてファンになったんだとよ」
「芋兄ちゃん言うな!ギャップって素直に喜べない!」
「そう言うな。写真代は頂いてあるんだから素直に撮られてくれ。あと何かパフォーマンスしてくれ」
「金取るとか、いつも通り最低だな」
思い出せば、バンドの演出もコイツが担当してたような記憶がある。
仕方がない。少しだけやってみるか。僕は教室の後ろ側に移動する。
クラスメイト達は、慣れた様子で僕をニヤニヤと見ている。
僕は上履きを脱ぎ、その上履きの上に足を乗せる。
2、3回と両手を振って勢いをつける。そのまま、垂直飛びのように高く飛び上がり、体を後方へ反る。足を抱え込み、そのまま一回転。視界が地面をとらえたら両足を伸ばして着地。
そして、着地した足の下に上履きがある。つまり、きっちり飛んだ場所に着地してみせたのだ。
それを見ていたクラス中から歓声が起きて、僕は手を振って答えた。
これは、有名な柔道家が若い時の特技だったらしく、それを聞いた頃、必死に真似して特訓したのだった。
しばらく、喝采を受けることになってしまった。
実のところ、今日は、早めに目が覚めてしまったので、早朝マラソンに10キロ走ってきたのだ。その為、想像以上の倦怠感に襲われてしまい学校で仮眠を取ると決めていたのだ。
僕は自分の席に戻り、再び仮眠を取ろうとした。
机に顔を伏せたとき、言い忘れに気がついて勇を呼び止める。
「やったんだから、今度は何か奢れよな」
これが、僕の、天王寺類の日常だった。この日までは・・・・・・。
今日、この後のホームルームで紹介される転校生によって、僕の日常は大幅に軌道変更されることになってしまったのだった。
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