今日お姫様始めました

りょう

第27話 あまりに重すぎる事実

      第27話  あまりに重すぎる事実
1
歩き疲れてしまった俺達は、紅葉を眺めながら軽い昼食を取る事にした。作ったのは…。
「どうだ味は?」
『おいしい!』
「だろ? 」
俺だ。実はあっちの世界にいる頃頃から趣味は料理で、たまに作っては家族に食べさせていたりしたから、味には自信がある。
「それにしてもユウさんにこんな特技があるとは思ってもいませんでした」
「まあ、普段はあまり作らないからな」
こっちの世界に来て、まともに料理したのが今回が初めてという事もあり、皆の評判がいいのは嬉しい。朝から早起きして作った甲斐があった。
「それにしてもステラとサラ、ちょっと食いすぎじゃねえが?」
「そうでしょうか? 姫の料理がおいしいからひたすら食べてるだけですよ? ねえサラちゃん」
「うん。お兄ちゃんが作った料理すごく美味しい!」
「あ、ありがとう」
思わず恥ずかしくなってしまう。これで女装をしてなかったら、もっと喜べるだろうな…。てか、この四人の前ならカツラ外してもいいんじゃねえか? サラなんかすっかりお兄ちゃんって呼んでるし…。せめて、こういう時は男で居たかった…。
2
あれから三十分ほどが経った。
「すっかり二人とも寝てしまいましたね」
「ああ」
歩き疲れたのか、先程から寝てしまったステラとサラを眺めながら、そんな事を話す。
(もしかして今、俺とミッシェル二人っきり?)
そうか、これはチャンスなのか?男と知られてしまったなら、もう何も壁がないはずだ。今なら俺は、ミッシェルに気持ちを伝えられる。
「な、なぁミッシェ…」
「ユウさん、ちょっといいですか?」
「え?」
俺の言葉をミッシェルが遮ったので、一瞬驚いてしまう。
「私、あなたにちゃんと伝えておきたい事があるんです」
「俺に伝えておきたい事?」
それってまさか…。
いやいや、そんな訳がない。これは俺の片想いであって、別に彼女が俺をどう想ってるかまでは分からない。
「はい。どうしても知ってほしいんです。私の事を」
「ミッシェルの事?」
果たしてどんな話だろうか? とりあえず俺は、彼女の話を聞いてみる事にした。
「私実は…」
まさかその話が、俺の想像を遥かに超える事だとは知らずに…。
3
(俺はどうするべきなんだ…こんな事を知って)
紅葉狩りから帰ってきた後、俺はそのまま部屋に戻り布団に伏した。ミッシェルが話した事は、今の俺にはあまりに重すぎる事実で、帰ってきた後もこうして頭を悩ましている。でも彼女は、それを勇気を出して伝えてきたのだ。それに答えなくては意味がないのは分かっている。そう、分かってはいるんだ。だからこそ…。
「はぁ…」
こんなのってありかよ。
                                                                続く

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