今日お姫様始めました

りょう

第20話 皆で鍋パーティ(闇)

         第20話 皆で鍋パーティ(闇)

1
どうしてこうなった…。
俺は今激しく後悔している。
安易な発想で鍋をやるなんて、言わなきゃよかった…。
「ゆ、ユウ、この具材は一体な…に…」
脱落者 一名
「うわぁ、どれもおいしそう」
状況理解不能者 一名
「ガクガク…」
戦死者 一名
「な、何とか生き残った」
生存者一名
今回の鍋パーティはこのような結果になった。
(そもそも誰だ、鍋やろうと言い出したのは)
あ、俺か…。
2
時は遡る事数時間前、皆でパーティをやろうとは言ったものの、具体的な案が出てこなかったので俺は、ある事を提案した。
「鍋?」
「そう、鍋パーティをやりましょう」
どうやらこの世界にも鍋という概念はあるらしく、たまに城でも鍋料理が出ていたりした。という事で皆で鍋を囲む事になった。そう、ここまでは普通だったんだ。問題は何鍋にするかで発生した。
「鍋ってそんなに種類あったんですね」
「結構私、鍋には詳しいんで」
「流石は姫」
俺が一通りどんな鍋があるか教えると、皆が何にするか悩み始めた。何であの時俺は…。
「ねえお姉ちゃん、やみなべって何?」
「え? えっと、闇鍋っていうのはそれぞれが好きな具材を持ってきて、それを鍋に入れるというやつだけど、それは…」
「サラ、それがいい!」
「確かにそれは面白いかも! きっと美味しい鍋になりそうだし」
「私も気になります。姫、それにしましょう!」
「いや、だからそれは…」
その一覧に闇鍋を挙げてしまったのだろうか? 今となってはすごく後悔している。
3
話は戻り、現在生き残っているのは俺とサラのみ。これは…。
「ね、ねえサラ、そろそろ片付けようか。皆もお腹一杯だし」
まあ、大半が気絶しているけど。
「えー、まだ食べたい」
「た、食べたいの?」
「うん! すごく美味しいもん」
「そ、そう…」
どんな味覚してんだサラは。
「じゃ、じゃあそれ全部食べちゃっていいよ」
「え? 本当?」
「うん。私ちょっと外に行ってくるから、皆が起きたら呼びにきて」
「うん。分かった」
既に限界を迎えている俺は、一旦部屋から出て外の空気を吸った。
「ああ、空気がおいしい…」
こんなに空気がおいしいと感じたのは初めてだ。それほど闇鍋は強烈で、下手すると人の命を奪いかねない凶器だ。これは普通の人間でもやりたくない(ちなみに、どんな中身だったかは内緒である)。
「二度とやりたくないな。闇鍋」
こんな惨劇になるくらいなら、本当にやらなきゃよかったと、後悔した俺だった。

あ、ちなみに鍋はサラがおいしくいただきました(こいつ、本気で大丈夫か?)。
                                                                続く

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