今日お姫様始めました

りょう

第12話 こんなピクニックは絶対に嫌だ

 第12話 こんなピクニックは絶対に嫌だ 

1
「とりあえず今は、サラの捜索を優先にしましょう」
俺達は今敵国領内にいる。つまり途中まで一緒だったサラも領内にいる可能性が高い。今俺達は三人だが、彼女は今一人でここにいる。だから下手したらサラは敵国に捕まってしまう可能性がある。。それが起きる前に、急いで彼女を見つけ出して国に戻らなければ。
「でもこちらも下手に動くと見つかりますよ?」
「その時は私がお二方を守ってみせます」
ステラが心強い事を言ってくれるが、果たして彼女は戦うことが出来るのだろうか? だからといって、俺が何か出来るわけでもない。なので、
「いざという時はよろしくお願いしますね、ステラ」
「姫のためならたとえ火の中水の中です」
ここはステラを頼ることにした。
「ステラ、とりあえず私達はどちらに向かえばいいのでしょうか?」
「えっと...、分かりません」
いや、頼るのはやめた方がいいのかもしれない。

とりあえずサラの捜索を始めた俺達は、敵の監視を潜り抜けるのがやっとで、捜索が難航していた。
「サラぁ、どこにいるのですかー?」
声も大声を出すことは出来ず、俺達は道なき道を歩きながら小さな影を探し回った。
そして時間が過ぎていき、すっかり夜にない探すことすら不可能になり始めたころ...
「お姉ちゃん達どこー? うぇぇん、怖いよぉ」
どこかで女の子の泣き声が聞こえてきた。
「サラ?」
それに気づいた俺達は慌てて声がした方へ向かった。
すると、少しした先に小さな影を発見。
「サラ!」
「あ、お姉ちゃゃん。うわぁぁぁん」
名前を呼ぶと、泣きながらサラが抱きついてきた。
「もう心配させないでよ」
「だって...だって...」
「本当心配したんですからね」
「ごめんなさい」
という訳でサラを無事発見し、後は国に帰るだけなのだが...
「姫、感動の再会は別に構わないのですが、まだ私達は敵国の領土内にいる可能性だってあるんですよ」
肝心の帰り道が分からない。
「帰り道?それなら私覚えてるよ」
「え? サラ覚えてるの?」
「うん!」
灯台下暗しとはこのこと言うのだろう。まさかサラが覚えているなんて...。
「恐るべき子供ですね、サラって」
「私もそう思います」
「? お姉ちゃん達私の名前呼ばなかった?」
「え? な、何も言ってませんよ。ねえステラさん」
「はい」
お前ら分かりやすすぎ。全部聞こえてるっての。まあ、これで...
「一件落着しましたし、帰りましょうか」
『はい!』
こうして危険だらけのピクニックは幕を閉じた。

まあこの後、王にすごく怒られたけどな。
                                               続く

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