今日お姫様始めました

りょう

第3話 姫様の初陣

    第3話 姫様の初陣

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馬鹿な国の馬鹿な戦に姫として参加する事になった俺は、全軍の先頭に立っていた。全身ごっつい鎧をまとって…。
(何でこんな目に…)
一通り辺りを見回す。そしてある事に気づく。
(って、兵士少なっ!)
これから戦いだってのに、何だこの人数の少なさは!しかもほとんどが女性。何だこのどこぞの大奥みたいな国は。
「姫様、全軍出撃準備できました」
と色々な所にツッコミを入れていると、王国防衛軍(?)の隊長であるエルーシャ(先程カステラから紹介があった)がこちらにやって来た。
「どうしたの? エルーシャ」
はい、ここで皆はある事に気づいただろう。俺の口調が変なのを。どうやら姫が男である(勿論俺は承諾してないが)事は、ほんの一部しか知らないらしい。だから男声で喋るわけにはいかないので、そう聞こえるように口調を変えてみた。その結果、
「随分変な声をしていますね」
泣きたい。
「と、とりあえずエルーシャ。今現在の状況を教えていただけないでしょうか」
泣きたい衝動を抑えながら、現在の状況をエルーシャに尋ねる。
「現在ラビダス軍は城門まえを占拠しており、第二部隊が迎撃に向かっております」
いきなり大ピンチじゃねえか。よくこんなんで国を守れたな。てか第二部隊って事は…。
「え、エルーシャ、一つ聞いていいかしら?」
「はい、何でしょうか?」
「私達は今どこをどこを守ってるんでしょうか?」
「何を言っているんですか? ここは城の裏門ですよ?」
「裏門ですか…」
「そうです。私達は敵の増援部隊が来ないように、ここで見張っているんですよ」
「なるほど…」
こいつらすごく馬鹿だろ? 何でメインの部隊が裏門で敵の援軍を迎え撃つようにしてるんだ? それに普通援軍ってここから来る事はないだろう。つまり、俺達は戦いの最中なのに、来るはずもない敵の援軍を待っていると。そりゃあ人数も少ないわけだ。
「と、とりあえずエルーシャ。私達も城門に行きましょう」
「何を言っているんですか! あちらへ行ったら、姫様が危ないですよ」
じゃあ、何で戦いに参加してるんだよ姫。そんなに危ないなら普通に部屋に居させろ。それが一番安全だろ。
「伝令、伝令」
とにかく安全第一という事で、何もせずに待っていると、一人の兵士がエルーシャの元にやって来た。伝令とかいつの時代だよ。
「第二部隊がラビダス軍を殲滅。援軍も来ないようなので、我々の勝利が決まりました」
第二部隊強すぎだろ!殲滅ってつまり…。
(何もせずに戦い終わりやがった)
という訳で、俺の初陣はただの城の警備で終わりましたとさ。
駄目だこの国…。
                                         続く

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