転生ヒロイン、今日もフラグを折るために奮闘する
危険な考えは了承される
気まずそうな雰囲気の漂う生徒会室。宦官とは何ぞや? と不思議がる生徒もいる。
「……一応同じ男としてそれはどうかと思うけど」
やっとのことでそう言ったのはロビンだった。
「その前に、宦官って何?」
ブラームが不思議そうに訊ねてきた。
「えっとですね。燕王国の男性罪人、もしくは後宮に使える男性が行う処理のことです」
しれっとアーデルヘイトが答える。
「し……処理」
「失礼しました。処置ですね」
「どんな処置……」
「クラウディア、聞かない!!」
ロビンがすぐさま遮った。
「えっとですねーー」
「アーデルヘイトさんっ! あなたがどこでその知識を得たのか分かりませんが、言わないでください!!」
仕方がないので、クラウディアにだけ耳打ちする。
「……まぁ! もし学院内で問題を起こしたら、それをすると確約させましょう!!」
ふふふっと笑うクラウディア。その様子に、他の生徒会役員たちは不思議そうな顔をしていた。
「ボー、一体どんな処置なのさ」
エトウィンがクラウディアに訊ねた。
「ふふふ。男性機能をきっちゃうんだそうですの♪ あちらの国でも王位継承者は多いので、一人位子供をなせなくても平気でしょう?」
まるで悪戯をするかのごとくな口調。そして、その口調に似合わぬ残酷な話。
ひゅっと男子生徒が心なしか内股になった。
「いいかもしれない」
「クンラート!?」
「問題があったら責任を取らせられるのは生徒会だ。今回のことには風紀委員は関わらない。だったら、最初からその文面は取り付けておいたほうがいい。
それから、第五王子を挑発するような言動は避けること。これも学院全生徒に通達。破った場合は生徒会で一切責任を取らない」
驚くエトウィンに対して、クンラートは冷静に言う。
「生徒会役員になれなかった者たちが、色々とやっているらしいからね。こんなくだらないことで責任取らせられるなんてたまったものじゃない。父上にも言って、特別法案にしてもらうよ。各自根回しよろしく。
それから、後ろ盾のないアーデルヘイトさんは早いうちに神殿へ一度行って。あそこは治外法権だから、どこの国の権力者が来ても保護している人を渡さない。これで、前回逃げた生徒が数名いる」
「分かりました」
エトホーフト枢機卿に話を通しておくから。そう言ったのはブラームだった。
あとで知ることになるのだが、ブラームとエトホーフト枢機卿の次男、カスペルは同じクラスなのだ。
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