転生ヒロイン、今日もフラグを折るために奮闘する

神無乃愛

アーデルヘイトの思想は危険

 燕王国からの使者をもてなすだけなら、学院や生徒会はまったく関係ない。ところが、学院も見て回りたいという我が侭で歓迎式典を「滞りなく」「完璧に」仕上げなくてはいけない。
 それゆえ、燕王国の使者が来るまでは学院内は午前授業となる。
「はた迷惑ですよね」
「アーデルヘイトさん、歯に衣着せようよ。不敬罪で捕まるよ?」
 アンドリースが表向きだけでもと、たしなめてくる。
「特に手痛くありませんし。親から勘当されていいこと尽くめですが」
 その言葉に生徒会役員全員が言葉を失っていた。
「……その破天荒な考えは口に出さないで欲しいんだけど」
 ドミニクスも呆れている。
「それは置いておくとして、歓迎式典どうしようか」
 クンラートがさり気なく話題をかえた。

 くだらない提案も出つつ、少しずつ形がまとまり始めていた。
「いっそ落とし穴掘っちゃいますかね」
 アーデルヘイトはぼそりと呟いた。
「アーデさん?」
「ボー先輩、それくらいやっても罰は当たらないと思うんですよね」
 気がつくと二人は愛称で呼び合うようになっていた。
「いい考えですけど、簡単に這い上がってきたら嫌ですわ」
「中には、燕国から贈られたという竹林からとれるものを入れようかと。まず、本体の竹をこう斬ってですね……」
 アーデルヘイトが図にしたためたのは、俗にいう竹槍である。
「これって……」
 ひくひくと顔を引きつらせている前・現生徒会役員たちの中で、何とか口を開いたのはドミニクスである。
「最悪死に至る場合もあるかと。一度使ってしまうと殺傷能力が下がるので、一回こっきりで……」
「そういう恐ろしいことは考えない! 戦争の原因になる!!」
「じゃあ、葉っぱを使いましょうか」
「使うと、どうなる?」
「傷が大量に出来るくらいでしょうかね。結構鋭利なので」
「駄目に決まってるでしょうが!! 国際問題だよ!?」
 次の瞬間、ドミニクス……ではなく前生徒会副会長のブラームに頭を叩かれた。
 ブラームは王都にあるストラウク商会の跡取りである。
「……ちっ」
「アーデさんのお気持ちは分かりますけど、どうせなら蟻地獄でしたっけ? あのようなものがいいかと……」
「ボーも恐ろしいこと言わない! 落とし穴は却下!!」
「じゃあ、学院内の生徒に乱暴したら宦官にするという約束だけはとりつけておいてください」
「宦官?」
 アーデルヘイトの提案に、ロビン以外が不思議そうな顔をしていた。

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