転生ヒロイン、今日もフラグを折るために奮闘する
百合的フラグ!?
入学以降の最初のイベント内容をすこんと忘れていた、アーデルヘイト。
次のイベントは、この燕国の国賓を招いた時になる。そして、そのフラグの立ちかたというのが、どうしようもないことからなのだ。
「筍を使った料理、ですか?」
生徒会室で食事をとりながら、ロビンと話す。
「一月ほど国賓の方がいらして国中を視察されるんだけどね。なんちゃってな燕国料理よりも、この国の料理を食べて欲しいと思うわけ」
その意見にはアーデルヘイトも納得する。
「宰相を務める父上も困っておいででしたわ。今回は燕王国の王族もいらっしゃるとか。しかも食通と名高い第五王子」
クラウディアがため息をつきながら言う。
「で、この第五王子。一昨年までこの学院に入学していたから、この国の食糧事情も分かっている」
ドミニクスも呆れ顔だ。何せ、学院に竹林を植えるよう要請したのはその第五王子なのだとか。
しかも節操なし。男だろうが女だろうが気に入った生徒に手を出さずに入られなかったという。
あぁ、俗にいうアレですね。えっとなんでしたっけ……チャラ男だ。何とか前世の記憶からそれを思い出したアーデルヘイトは呆れた眼差しで生徒会役員たちを見た。
「阿呆、ですか?」
「……そうはっきり言ってくれるな。確かにあまり……」
「その第五王子じゃなく、あなた方です」
どうせフラグなどないのだ。引導を渡してやろう。そんなつもりでアーデルヘイトは言い放った。
「学院の生徒を守らずして何が生徒会ですか。何が風紀委員ですか。そんな節操なしな男はちゃっちゃとお国に戻してしまえばよかったんです。しかも自分がいなくなるのが分かってて学院に竹林植えた? そんなお気楽な頭の持ち主に敬意を払うというほうがおかしいんです」
「ふふふ。アーデルヘイトさんもそう思います?」
「クラウディア先輩?」
「わたくしのいとこたちが当時通っておりましたの。傍若無人で……とよく愚痴をこぼしておりましたわ。そんなことを言うくらいならさっさと引導を渡せばよいのにと何度も思ったことか。
しかも、当時通っていた生徒が何人か生贄にされたとか。その上で気に入った者だけお国に連れて帰ったそうですわ」
「全人類の敵?」
「近しい者はありますわね」
思わずクラウディアと手を握り合う。
「これは一度報復しないと」
「そうですわね。わたくしが姉のように慕っていた方も連れて行かれましたし」
ふふふ、と二人黒い笑みを浮かべる。
「ボー、アーデルヘイトさん。悔しいのは分かったから、とりあえず黒い笑みを引っ込めてもらえる? ロビンが作ってくれたご飯がまずくなるよ」
「ビュルシンク先輩、失礼しました」
「分かってくれればいいよ。……今回第五王子がいらっしゃることに関しては父上も難色を示していたから、今の会話は聞かなかったことにするよ」
ため息をつきながらエトウィンが言う。
「それから、学院に卒業生として訪問したいらしい。で、現生徒会で歓迎の式典をしなくてはいけないんだ」
クンラートも心底嫌そうに言う。
もくもくと食事をしながら、どうしたものかとアーデルヘイトは頭を悩ませていた。
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