転生ヒロイン、今日もフラグを折るために奮闘する

神無乃愛

ヴィッテリック家の事情


 その日は筍パーティと化し、ロビンは上機嫌で帰宅した。帰寮ではない。
「ただ今戻りました」
「おかえりなさいませ、ロビン坊ちゃま」
 執事がすぐさま出迎えた。
「父上は?」
「先ほど戻られました」
「父上の手があき次第、話がしたいと伝えてくれ。僕は部屋にいる」
「かしこまりました」
 両親共に、ロビンが調理場に近づくのを快く思っていない。学院以外で調理をするのは、変わり者の叔父が住んでいる離れだけだ。

「話というのは?」
「現国王陛下に関することと、慈善事業に関することです」
 ロビンは父親である公爵を見据えて言う。
「話してみなさい」
 躊躇いもなく、父親は言った。

「……なるほど。アーデルヘイト嬢は殿下、、の御許にいたわけか。フェーレン家に彼女の存在を教えたのは、陛下の息のかかった者ではないだろうな」
 端的に話したはずなのに、公爵はヤンを「殿下」と認めた。
「陛下御即位の際には内乱が起きた。それはひとえに殿下が類稀なる五属性持ちだったことに由来する。
 殿下の母上は前陛下に捧げられて人身御供であり、生贄、、であらせられた。そこまで言えば、お前とて分かるだろう?」
「今の王太子妃と同じく光属性を持たない伯爵家以上の家の者か、アーデルヘイト嬢と同じ闇属性持ちのお方」
「左様。当時の王妃である現王太后様も光属性を持たぬお方だったため、側室として入られたことに快く思わなく、それは嫌がらせが酷かった。それゆえ、お二人とも何度も命の危険があった。今は断絶した某公爵家でお二人を保護したことが、内乱の発端」
「その公爵家は殿下を推したわけですね」
 次の王として。
 だが、公爵は答えようとしない。
「それよりも慈善活動のほうだな。私のほうでも手を回そう。……二度とその孤児院へは行くな」
「嫌です」
 ロビンは公爵に真っ向から反発した。
「私は子供たちと向き合い、楽しいと思いました。私がするのは慈善活動ではなく自己満足です」
「まだ料理などくだらないものをやっているのか?」
「そうですね。燕の国にしかないと思われていたタケノコ、これがこの国にあるそうですし」
 その言葉に公爵が反応する。
「教えてくれたのはアーデルヘイト嬢です。採れたてとは美味でした。下手な細工などしなくても美味しくいただけました」
「何だと!?」
 燕の国と一番繋がりがあるのは外務卿だが、次点でヴィッテリック家だったりする。それゆえ、燕の国の食文化にもある程度詳しい。
「そのあたりのことも色々と聞かなくてはいけませんので、私が孤児院へ行きます。アーデルヘイト嬢が一緒でないと、どうもあの孤児院、門戸を開けてくれなさそうな気がしますから」
「……お前に一任する。来月には親善大使がいらっしゃる。それまでに何とかせよ」
「かしこまりました」
 とすると、燕の国から留学している数名もその宴に参加することになるだろう。

 アーデルヘイトが気後れしないかが心配だった。

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