転生ヒロイン、今日もフラグを折るために奮闘する
孤児院の食糧事情
「ここが……」
「はい。私が幼少時過ごした孤児院です」
外出許可を取ったアーデルヘイトとロビン……だけではなく、何故かドミニクスとアンドリース、それからクラウディアも一緒に孤児院へ来ていた。
ずだだだだ! とアーデルヘイトに向かって走ってくるのは、孤児院内でも一、二位を争う問題児二人だ。
「今日、筍採りに行くんだろ!? 俺らも一緒行っていい……って、後ろの人たち誰?」
すぐさまアーデルヘイトは二人に拳骨を落とす。
「いってぇぇ」
「挨拶!」
「えぇぇぇ? 何で貴族様にしなきゃいけねぇの? 自分たちばっかり偉ぶって、不条理なことばっかり言って……」
「それとこれは別! 挨拶は人の基本!!」
「相変わらずアーデは厳しいね。……それから初めまして。私がこの孤児院の責任者、ヤンだ」
「僕はファースといいます」
何を思ったか、ロビンがセカンドネームで自己紹介していた。
「ファース君……と呼ばせてもらうよ。ヴィッテリック宰相閣下の嫡男か」
「構いません。それよりも、ここで筍が採れると聞いてきたんですが」
「ロビン! そっちが優先なの!?」
「クラウディア、当たり前じゃないか。僕はそのために来たんだ。孤児院の慰問は母上の仕事だ」
冷たくロビンが言う。
「ははは。ヴィッテリック公爵夫人の慈善活動は有名ですからな。そちらより筍を優先されるとは」
「はい。アーデルヘイトさんに、こちらで筍をよく食べていると聞いたので」
「アレね。アーデが孤児院にいた頃からだからねぇ」
ヤンがしみじみと言う。
「というか、アーデが見つけてきたんだよ。そして調理法もアーデが試行錯誤で考えた。それと一緒で少し遠出をして山中から芋を掘ってきたときは、さすがの私も驚いたよ」
「山の中に芋があるんですか?」
「あったよ。今は畑で植えているけど。……ネバネバして好みが分かれる。調理すると大半の子供が食べるけどね。
おかげでうちの孤児院内では飢えは他のところに比べて少ない」
ヤンの告白に興味本位でついてきたメンバーが絶句していた。
「で、アーデ。この人たちに筍を教えてどうするつもりだい?」
「少量の取引で金に替えます」
「……言うと思ったよ」
アーデルヘイトの答えに、ヤンが呆れていた。
その場にいたメンバー全員がもう一つのことで驚いていた。
羊皮紙でない用紙を使い、子供たちが書き物をしているのだ。
「これは?」
「これ? 紙」
子供はぶっきらぼうにそれだけ答えると、すぐにいなくなった。
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