転生ヒロイン、今日もフラグを折るために奮闘する
アーデルヘイトとヤン、それから枢機卿
孤児院に関わる者たちが貴族というものを毛嫌いしているのを知っていて、アーデルヘイトはわざと連れて来たのだ。
何をしても許されると思うな、それがアーデルヘイトの考えだ。
アーデルヘイトがいた数年の間も、「寄付・慈善活動」を盾に取り、孤児院へ無理難題を仕掛けてきた貴族はいたし、「孤児だから何をしてもいい」と勘違いしている子息たちもいた。
極めつけはアーデルヘイトの実父だろう。あの傲慢な男。何が「孤児院より己の家のほうがいい」だ。孤児院にいたほうがアーデルヘイトの精神衛生上かなりよかった。
「アーデは手厳しいからね」
ヤンがくすりと笑って声をかけてきた。
「あれが手厳しいなら、他の人たちはもっと厳しいと思いますけど」
「学院で何かされていないかい?」
「無理矢理生徒会役員にさせられたくらいですかね。国王陛下やら宰相閣下やら、枢機卿まで出てきてどうしようかと思いましたよ」
その言葉に、ヤンの表情が強張った。
「院長先生?」
「……いや、もうお会いしたのか」
「させられた、というのが正しいです。どうも役員関係にそういった方が多いらしくて」
「とすると、エトホーフト枢機卿か」
「よくご存知ですね」
「この孤児院にも時々いらっしゃるよ」
「しかも社交界での後ろ盾になるとかおっしゃるし。全力でお断りさせていただきましたけど」
「…………」
「先生、何か言いました?」
「いや、別に」
ヤンが何か呟いていたようだが、アーデルヘイトには聞こえなかった。
少しばかりわざと離れて、ヤンはアーデルヘイトを見つめた。
「また厄介なのに目をつけられて。嫌がらせが酷くなるじゃないか」
アーデルヘイトが言わなくてもヴァイスを通じて話は入ってきている。
「まぁまぁ。殿下」
「……バルト」
先ほどまで話に出ていた枢機卿、バルト・エトホーフトがいつの間にか来ていた。
「彼女は澄んだ闇の持ち主。妻が気に入ったんですよ。だから神殿に囲い込みたいみたいですが」
「駄目。アーデは僕が目をつけたの。……誰にも渡さない」
「決めるのは彼女です。どちらにしても一度神殿に顔を出す必要がありますよ」
「僕もついて行く」
「どこの我が侭な子供ですか、あなたは」
バルトが呆れてヤンをたしなめていた。
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