転生ヒロイン、今日もフラグを折るために奮闘する
ヤンの独白
その後、ヤンと共に学院長のところへ行き、孤児院での教師役の許可を取った。
「フェーレンさん。大変申し訳ないが、これからこちらの方とお話がしたいと思います。先に戻っていただけますか?」
卒業生の近況を聞きたいと取ったアーデルヘイトは、そのまま学院長室を出た。
「何が言いたいのかな? クショフェーレ学院長」
アーデルヘイトがいたときと違い、横柄な態度で学院長を挑発する。
「殿下、あの者は……」
「闇持ち? それともフェーレン家の血を継いでいるのが駄目? それとも片親が平民だから?」
「全てです」
きっぱりと学院長が言う。
「ただのヤンだ。そしてあの子の成長を途中まで見守ってきた男だ」
「尚更反対させていただきます。孤児院にいた子供など……」
「ねぇ、訂正させてもらっていいかな。孤児院の何が駄目なのさ。あの子は誰よりも働き者だったよ。もしかして陛下の側近かい? あの子が僕の経営する孤児院にいるってフェーレン子爵に教えたの」
黙っているということは、事実だとヤンは取るだけなのだ。
「乗り込んできて、孤児院を壊すだなんていうからさ。それをあの子は止めただけだったよ。……それから陛下と王太后に伝えておいてよ。僕はこのままでいいって」
「しかしっ。あなたは珍しき五属性もちの方! 下々と共にいるなどと……」
「だから嫌なんだ。この国は。変な選民意識ばっかりあってさ。
そうそう、あの子に何かあったら、僕がこの学院を潰すからね。覚えておいて?」
あと話すことはない。そう言わんばかりにヤンは席をたった。
「イザーク」
影に潜んでいた己の配下を呼ぶ。
「ヤン様」
「あの子を……アーデを守って。そして変な虫は近づけないように」
「御意に」
配下の気配がなくなるのを感じたあと、ヤンは狂ったように笑う。
「愛しいアーデ……。本当は手放したくなかったんだよ」
稀有な五属性もちという環境が、ヤンを苦しめた。
それを救ったのが、幼いアーデルヘイトだった。
二十以上離れた少女だが、ヤンにとって守るべき女性だ。
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