転生ヒロイン、今日もフラグを折るために奮闘する
乱立フラグへの序章2
「……ちっ」
「だからその舌打ち。淑女らしくないからやめようね?」
ドミニクスが腕を引っ張りながら言う。
「だから、役員とかやる気ないって一度お断りしたはずですが」
「ところがね、入学時成績上位二名は絶対的に生徒会役員か風紀委員をするんだ。ちなみにアーデルヘイトさんが一位、二位はレクス」
どこからそんな個人情報を手に入れたと聞きたくなるが、相手は侯爵家。まぁ、何とかなるのだろうと思いなおした。
連れて行かれた先は生徒会室ではなく、会議室だった。
その場にいた面々にアーデルヘイトはおののく。生徒会長と副会長、そして風紀委員長に副委員長、学院長に聖職者の服を着た男、そして国王陛下と宰相閣下。
国王陛下がいたこともあり、アーデルヘイトは臣下の礼をとった。
「楽にしてよい。そなたに話があったまで」
その声を聞くも、アーデルヘイトは顔をあげなかった。
「アーデルヘイト・ファン・フェーレン。面を上げよ」
宰相閣下が声をかけたが、アーデルヘイトはあげようとしない。
「面を上げよ」
国王陛下も再度いい、やっとアーデルヘイトは顔をあげた。
たかが生徒会役員になる、ならない如きで国王陛下や宰相閣下まで出てくるとは思わなかった。
「我々の子供はこの学院の生徒なのですよ。本日は子供の『お願い』にのこのこと出てきた親馬鹿だと思ってください」
そう言ったのは聖職者の服を着た男だった。
「私の子供は昨年風紀委員の副委員長を務めました。陛下の御子が委員長を。そして宰相閣下の御子は現生徒会役員です」
この聖職者誰だっけ、そう考えているうちにアーデルヘイトは思い出した。「光の神子」と呼ばれるエトホーフト枢機卿だ。確か奥様が「闇の巫女」と呼ばれる方だ。
「誇り高き『闇』の属性を持つ少女よ。あなたはこの先どの道を進むつもりですか?」
にこりと笑ってエトホーフト枢機卿が問いかけてきた。
「どの道……と仰いますと?」
「それはおいおい。それよりもあなたは成績が優秀にも関わらず、役員関係を逃げたそうですね」
「私にはそのような大役は務まりませんので」
「何を言うか」
枢機卿との話に、陛下が割って入ってきた。
「大役が務まらぬと逃げるつもりか? そなたは今年デビューのはずではないのか? そのように逃げておってはデビューすら出来ぬ」
いや、必要最低限の夜会は出ますよ? 誰がそんな面倒なことをやりたいと思うというのか。言いたいことは全て堪えていた。
「陛下、フェルフーフ家嫡男が何やら話しがあるそうです」
宰相閣下がそう言ってドミニクスを促した。
「恐れながら陛下。アーデルヘイト嬢は自己評価が低いのだと思われます」
それ、本人の前で言うか? アーデルヘイトは呆れつつも口に出さないでおいた。
「理由は?」
「入学式の二日前のことですが、その時でまだ制服が彼女の元に届いていないという事案がありました。私のほうで生徒会を通じて学院に申し出たところ、学院側ではご実家に入寮前に送ったとの事。どうやらそれを異母姉が着服していたようです。挙句、寮母たちも出生の件で入寮を拒否。それゆえ学院側で特例として別のところに部屋を用意したようです」
ざわり。その場にいた大人たちが顔色を変えて学院長を見つめた。
「アーデルヘイト・フィル・フェーレン。それに対して物申したいことは?」
「特にございません。逆にルームメイトに気をつかわずに済みますから、部屋は今のままでいいですし、制服も届いてこうやって勉学に励めますので蒸し返すつもりはありません」
というか、制服など来なくてもよかったと思っている。それを一度アーデルヘイトはヤンに言った。ヤンは笑って「その時は孤児院に来なさい。アーデがいてくれると助かるし」とお世辞であっても嬉しいことを言ってくれたのだ。
「おやおや。……それは大変だ。我が神殿でアーデルヘイト嬢を保護したいと思うのですが」
枢機卿がわざとらしく言った。
「だからその舌打ち。淑女らしくないからやめようね?」
ドミニクスが腕を引っ張りながら言う。
「だから、役員とかやる気ないって一度お断りしたはずですが」
「ところがね、入学時成績上位二名は絶対的に生徒会役員か風紀委員をするんだ。ちなみにアーデルヘイトさんが一位、二位はレクス」
どこからそんな個人情報を手に入れたと聞きたくなるが、相手は侯爵家。まぁ、何とかなるのだろうと思いなおした。
連れて行かれた先は生徒会室ではなく、会議室だった。
その場にいた面々にアーデルヘイトはおののく。生徒会長と副会長、そして風紀委員長に副委員長、学院長に聖職者の服を着た男、そして国王陛下と宰相閣下。
国王陛下がいたこともあり、アーデルヘイトは臣下の礼をとった。
「楽にしてよい。そなたに話があったまで」
その声を聞くも、アーデルヘイトは顔をあげなかった。
「アーデルヘイト・ファン・フェーレン。面を上げよ」
宰相閣下が声をかけたが、アーデルヘイトはあげようとしない。
「面を上げよ」
国王陛下も再度いい、やっとアーデルヘイトは顔をあげた。
たかが生徒会役員になる、ならない如きで国王陛下や宰相閣下まで出てくるとは思わなかった。
「我々の子供はこの学院の生徒なのですよ。本日は子供の『お願い』にのこのこと出てきた親馬鹿だと思ってください」
そう言ったのは聖職者の服を着た男だった。
「私の子供は昨年風紀委員の副委員長を務めました。陛下の御子が委員長を。そして宰相閣下の御子は現生徒会役員です」
この聖職者誰だっけ、そう考えているうちにアーデルヘイトは思い出した。「光の神子」と呼ばれるエトホーフト枢機卿だ。確か奥様が「闇の巫女」と呼ばれる方だ。
「誇り高き『闇』の属性を持つ少女よ。あなたはこの先どの道を進むつもりですか?」
にこりと笑ってエトホーフト枢機卿が問いかけてきた。
「どの道……と仰いますと?」
「それはおいおい。それよりもあなたは成績が優秀にも関わらず、役員関係を逃げたそうですね」
「私にはそのような大役は務まりませんので」
「何を言うか」
枢機卿との話に、陛下が割って入ってきた。
「大役が務まらぬと逃げるつもりか? そなたは今年デビューのはずではないのか? そのように逃げておってはデビューすら出来ぬ」
いや、必要最低限の夜会は出ますよ? 誰がそんな面倒なことをやりたいと思うというのか。言いたいことは全て堪えていた。
「陛下、フェルフーフ家嫡男が何やら話しがあるそうです」
宰相閣下がそう言ってドミニクスを促した。
「恐れながら陛下。アーデルヘイト嬢は自己評価が低いのだと思われます」
それ、本人の前で言うか? アーデルヘイトは呆れつつも口に出さないでおいた。
「理由は?」
「入学式の二日前のことですが、その時でまだ制服が彼女の元に届いていないという事案がありました。私のほうで生徒会を通じて学院に申し出たところ、学院側ではご実家に入寮前に送ったとの事。どうやらそれを異母姉が着服していたようです。挙句、寮母たちも出生の件で入寮を拒否。それゆえ学院側で特例として別のところに部屋を用意したようです」
ざわり。その場にいた大人たちが顔色を変えて学院長を見つめた。
「アーデルヘイト・フィル・フェーレン。それに対して物申したいことは?」
「特にございません。逆にルームメイトに気をつかわずに済みますから、部屋は今のままでいいですし、制服も届いてこうやって勉学に励めますので蒸し返すつもりはありません」
というか、制服など来なくてもよかったと思っている。それを一度アーデルヘイトはヤンに言った。ヤンは笑って「その時は孤児院に来なさい。アーデがいてくれると助かるし」とお世辞であっても嬉しいことを言ってくれたのだ。
「おやおや。……それは大変だ。我が神殿でアーデルヘイト嬢を保護したいと思うのですが」
枢機卿がわざとらしく言った。
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