二次元美少女と恋をしたいっ!←そんなことさせないですよ?
第69話 シリアスは突然に
本番よりも準備の時の方が楽しいなんてことは多々ある。いや、違うか。本番は本番で楽しいが、準備期間は期間で楽しい。今がまさにそんな状況だ。
文化祭まで一週間を切った俺たちは、準備に追われていた。この期間、授業も午前中だけということもあり、学校全体が浮き足立つ感じになっている。
来たる文化祭に思いを馳せながら、終わらない準備作業、それによるイライラに喧嘩なんてものはしょっちゅう起こる。
我がクラスも例外ではなかった。
「ねぇ!男子!!力入れすぎ!」
「うるせぇ!!俺たちは本気なんだよぉおおお!!」
だけど少し違うのは、俺たちのクラスの場合男子がやる気に満ち溢れていて女子がそれに対して引いていた。
「すごいやる気だな皆」
「そりゃそうだろ。なんてたって篠原さんやセラフィさんどころかこのクラスの全女子がメイド服着てくれるんだからな。やる気が上がらないわけがねぇよ!!!」
「そうか」
智和もやる気に満ち溢れていた。
各クラスに学校から分配される予算は同じだ。
そこからどうにかこうにかしてやりくりをしていくのだが、ある程度なら実費で賄ってもいいというが、学校側から認められている。
そのせいか、俺の所属するE組男子のほとんどがメイド喫茶をやると決まってからバイトをし始めるやつが続出。その結果ある程度の実費が、それなりの実費になる結果になった。……本気出しすぎだろお前ら。でもそんな所に痺れるぅ!!
普通なら、イベントごとは女の子が主導でやるものだが、うちのクラスは男子主導で、メイド服も裁縫が得意なやつが制作真っ最中だ。ブツブツと夢、希望、ユートピアとか呟きながら制作しているその姿はいつパクられてもおかしくない。
既に何着かのメイド服は完成していて、数人の女の子たちが試着を開始していた。
ちなみに、俺の役割なんだがその試着した女の子に感想を言うという誰得な役割だ。
「俺は今日という今日まで陽向と友達で良かったと思った日はないぜ」
「嬉しいことを言ってくれてありがとよ。けどな、いうタイミングがもうちょい違う時がよかった」
教室の片隅に作られた試着室の前に椅子を並べて座る俺と智和。
今か今かと試着している女の子の登場を待つ智和。
そわそわしすぎだろ。
「ひ、陽向くん居ますか?」
カーテンの向こうから試着真っ最中の女の子、桃の声がする。
残念なことに、俺が任されたのは桃とセラフィの感想を言うことだった。
「ざ、残念とはなんですか!」
「そうだぞ陽向。残念どころか女神を見られるんだぞ?」
「さいですか」
べつにどうだったっていいんだよなー。
3次元の女の娘のメイド服姿を見たところでコスプレ感が否めないし。
「お、おかしかったら言ってくださいね?」
「おーう」
「ほ、本当に言ってくださいよ?」
「あいよー」
「なんですかその気の抜けた返事は」
「だってめんどくさいし、つか早く出てこいよ終わらねーだろ」
「はぁ。いつも通りですね。待ってて下さい今出ますから」
そう言うと、シャーとカーテンを開けてメイド服に身を包んだ桃が姿を現した。
隣では智和がうおーと小さく息を飲みながらその姿を羨望していて、うっとりとしている。
ほんとに女神が来たかのようだ。
「ど、どうですか?」
ちょこんとスカートを持ち上げながら聞いてくる姿は、まぁ普通に似合っていた。
オーソドックスなメイド服で高ポイントはニーソだろう。
金髪ということもあってか黒を基調としたメイド服にはよく映えていて、人気が出るのは間違いないと思う。
「普通に似合ってるから感想に困る」
「そ、そうですか。へへへ、ありがとうございます」
頬を朱に染めながら礼を言う桃。
何が嬉しいんだが。
「つか、ツインテにしたんだな」
「はい。この方がいいかと思いまして」
くるりと一回転して、二つの髪の束をなびかせる。
いつもはポニテで凛としているイメージだが、ツインテになると若干幼く見えて、イメージが全然変わる。髪型一つで変わるものだ。
「陽向よ」
「ん?」
「普通に可愛いな」
「確かに。普通に可愛い」
二次元美少女loveな俺が見ても普通に可愛い。
元がいいものあるのかもしれないが、メイド服を着ることによってさらに際立っていた。同人誌とかでも作れば売れそうだ。
「か、かわ……!!」
言葉にならない声を出した後、桃は勢いよくカーテンを閉めた。
「なんだ?」
「まぁ、お前に言われたんじゃーな」
「俺は思ったことを言っただけなんだけどな。二次元美少女loveな俺が見ても含む可愛いかったし」
「辞めろ陽向。それ以上喋るな。カーテンの向こう側で篠原さんが悶えてるのがここからでも分かるから」
悶えるってなんだよ。
確かにカーテンの向こう側でドタバタしてるのは聞こえるけども。
「よ、ようた?どうかしら?」
違うカーテンからおどおどした様子でセラフィが出てきた。
胸の部分が結構開いているタイプのメイド服を着ていて。恥ずかしいのか胸元を手で隠している。
「おう。エ〇アニメに出てくるお嬢様みたいだ」
「ようたは褒める言葉をそれしか知らないのですの!?」
「冗談だ。似合ってるぞ」
「ほ……よかったですわ」
似合ってるにはすげー似合ってるけど、セラフィがメイド服を着るとやっぱりエ〇アニメに出てきそうなんだよなー。不思議だ。
「女神が2人も……陽向!!1番は貰ったも同然だな!!」
「かもな」
普通に可愛い桃とセラフィがいれば智和の言う通り勝てるんじゃないか?これは。
「それはどうかな」
振り向くと、そこにはメガネをかけた男子生徒が立っていた。
メガネくいっとあげて知的にみえる男子生徒はネクタイの色から上級生だと言うのが分かる。
「誰?」
「誰ってお前。噂の深夜さんだぞ!」
「深夜?深夜……あぁ去年の」
「深夜……なぜお前がここにいる?」
若干不機嫌ないや、不機嫌丸出しの先生が深夜とか言う男子生徒の横にたった。
「ここは私の教室なんだが?」
「これは失礼。いやークラスの女の子たちに僕は本番以外は何もしなくていいと言われたもので、学校内を徘徊していたんですけどね、道に迷ってしまって」
学校で道に迷うって。
「なら、私が案内しよう。まず教室を出ろ。そして困った顔をしていろ。そうすれば誰かが助けてくれる」
「なるほど……さすが先生ありがとうございます!」
爽やかな笑顔を振りまいて深夜という男子生徒は教室から出ていった。
「何も案内してないですね」
「いいんだよ。あいつには。あいつは馬鹿だから説明したところで理解しない」
「馬鹿?」
「顔はそこそこいいんだろうけど、中身がほんとにバカでな。メガネをかけているがホントはただの馬鹿だ。クラスの女子連中に言われたのも余計なことをするなって意味だろ。学校で道に迷っているのが何よりも証拠だ」  
「あぁ」
「よくあれで部長を務めてるものだ」
「部長?」
「あいつは帰宅部の部長なんだよ」
すごく嫌な顔をして先生はいった。
あぁだから嫌なのか深夜って人のこと。
☆
「ねぇ。シルク」
「なに?真昼姉さん」
「姉さんって辞めてくれる?ほんとの姉弟ではないんだから」
「でも昔からこう呼んでるしなー」
「まぁいいわ。一つ頼みごとを聞いてくれるかしら?」
「うん。いいよ」
「陽向様……んん。瀬尾陽向の周りにいる女の誰でもいいからシルクのその無駄なイケメンを使って落として欲しいのだけれど」
「酷いいいようだね。でも了解。誰でもいいんだよね?」
「えぇ誰でもいいわよ。けどオススメは霧咲夢希って女かしら。あぁいうのはイケメンには弱いのよ」
「嬉しいような、嬉しくないような」
「そして、私はそのスキに陽向様のお近くに……」
「1人だけでいいの?」 
「えぇ。全員居なくなられのも困るから。二人きりだと……恥ずかしいし……緊張しちゃうし……」
「真昼姉さんが何を考えているのか分からないけど分かったよ。任せて」
☆
文化祭まで残りあとわずかという時に事件は起きた。
部室で文化祭に向けて準備しているとコンコンとノックがなる。
「どうぞ」
来客があまり来ないので珍しい。
つか、こんなクソ忙しい時にやめて欲しい。
「失礼します」
「あれ?橘くん?」
来客は橘だった。
みんなの視線を受ける中、橘は一直線に霧咲の前まで行くと
「一目惚れしました。付き合って下さい」
と告は
「嫌ですけど?」
断るの早!
文化祭まで一週間を切った俺たちは、準備に追われていた。この期間、授業も午前中だけということもあり、学校全体が浮き足立つ感じになっている。
来たる文化祭に思いを馳せながら、終わらない準備作業、それによるイライラに喧嘩なんてものはしょっちゅう起こる。
我がクラスも例外ではなかった。
「ねぇ!男子!!力入れすぎ!」
「うるせぇ!!俺たちは本気なんだよぉおおお!!」
だけど少し違うのは、俺たちのクラスの場合男子がやる気に満ち溢れていて女子がそれに対して引いていた。
「すごいやる気だな皆」
「そりゃそうだろ。なんてたって篠原さんやセラフィさんどころかこのクラスの全女子がメイド服着てくれるんだからな。やる気が上がらないわけがねぇよ!!!」
「そうか」
智和もやる気に満ち溢れていた。
各クラスに学校から分配される予算は同じだ。
そこからどうにかこうにかしてやりくりをしていくのだが、ある程度なら実費で賄ってもいいというが、学校側から認められている。
そのせいか、俺の所属するE組男子のほとんどがメイド喫茶をやると決まってからバイトをし始めるやつが続出。その結果ある程度の実費が、それなりの実費になる結果になった。……本気出しすぎだろお前ら。でもそんな所に痺れるぅ!!
普通なら、イベントごとは女の子が主導でやるものだが、うちのクラスは男子主導で、メイド服も裁縫が得意なやつが制作真っ最中だ。ブツブツと夢、希望、ユートピアとか呟きながら制作しているその姿はいつパクられてもおかしくない。
既に何着かのメイド服は完成していて、数人の女の子たちが試着を開始していた。
ちなみに、俺の役割なんだがその試着した女の子に感想を言うという誰得な役割だ。
「俺は今日という今日まで陽向と友達で良かったと思った日はないぜ」
「嬉しいことを言ってくれてありがとよ。けどな、いうタイミングがもうちょい違う時がよかった」
教室の片隅に作られた試着室の前に椅子を並べて座る俺と智和。
今か今かと試着している女の子の登場を待つ智和。
そわそわしすぎだろ。
「ひ、陽向くん居ますか?」
カーテンの向こうから試着真っ最中の女の子、桃の声がする。
残念なことに、俺が任されたのは桃とセラフィの感想を言うことだった。
「ざ、残念とはなんですか!」
「そうだぞ陽向。残念どころか女神を見られるんだぞ?」
「さいですか」
べつにどうだったっていいんだよなー。
3次元の女の娘のメイド服姿を見たところでコスプレ感が否めないし。
「お、おかしかったら言ってくださいね?」
「おーう」
「ほ、本当に言ってくださいよ?」
「あいよー」
「なんですかその気の抜けた返事は」
「だってめんどくさいし、つか早く出てこいよ終わらねーだろ」
「はぁ。いつも通りですね。待ってて下さい今出ますから」
そう言うと、シャーとカーテンを開けてメイド服に身を包んだ桃が姿を現した。
隣では智和がうおーと小さく息を飲みながらその姿を羨望していて、うっとりとしている。
ほんとに女神が来たかのようだ。
「ど、どうですか?」
ちょこんとスカートを持ち上げながら聞いてくる姿は、まぁ普通に似合っていた。
オーソドックスなメイド服で高ポイントはニーソだろう。
金髪ということもあってか黒を基調としたメイド服にはよく映えていて、人気が出るのは間違いないと思う。
「普通に似合ってるから感想に困る」
「そ、そうですか。へへへ、ありがとうございます」
頬を朱に染めながら礼を言う桃。
何が嬉しいんだが。
「つか、ツインテにしたんだな」
「はい。この方がいいかと思いまして」
くるりと一回転して、二つの髪の束をなびかせる。
いつもはポニテで凛としているイメージだが、ツインテになると若干幼く見えて、イメージが全然変わる。髪型一つで変わるものだ。
「陽向よ」
「ん?」
「普通に可愛いな」
「確かに。普通に可愛い」
二次元美少女loveな俺が見ても普通に可愛い。
元がいいものあるのかもしれないが、メイド服を着ることによってさらに際立っていた。同人誌とかでも作れば売れそうだ。
「か、かわ……!!」
言葉にならない声を出した後、桃は勢いよくカーテンを閉めた。
「なんだ?」
「まぁ、お前に言われたんじゃーな」
「俺は思ったことを言っただけなんだけどな。二次元美少女loveな俺が見ても含む可愛いかったし」
「辞めろ陽向。それ以上喋るな。カーテンの向こう側で篠原さんが悶えてるのがここからでも分かるから」
悶えるってなんだよ。
確かにカーテンの向こう側でドタバタしてるのは聞こえるけども。
「よ、ようた?どうかしら?」
違うカーテンからおどおどした様子でセラフィが出てきた。
胸の部分が結構開いているタイプのメイド服を着ていて。恥ずかしいのか胸元を手で隠している。
「おう。エ〇アニメに出てくるお嬢様みたいだ」
「ようたは褒める言葉をそれしか知らないのですの!?」
「冗談だ。似合ってるぞ」
「ほ……よかったですわ」
似合ってるにはすげー似合ってるけど、セラフィがメイド服を着るとやっぱりエ〇アニメに出てきそうなんだよなー。不思議だ。
「女神が2人も……陽向!!1番は貰ったも同然だな!!」
「かもな」
普通に可愛い桃とセラフィがいれば智和の言う通り勝てるんじゃないか?これは。
「それはどうかな」
振り向くと、そこにはメガネをかけた男子生徒が立っていた。
メガネくいっとあげて知的にみえる男子生徒はネクタイの色から上級生だと言うのが分かる。
「誰?」
「誰ってお前。噂の深夜さんだぞ!」
「深夜?深夜……あぁ去年の」
「深夜……なぜお前がここにいる?」
若干不機嫌ないや、不機嫌丸出しの先生が深夜とか言う男子生徒の横にたった。
「ここは私の教室なんだが?」
「これは失礼。いやークラスの女の子たちに僕は本番以外は何もしなくていいと言われたもので、学校内を徘徊していたんですけどね、道に迷ってしまって」
学校で道に迷うって。
「なら、私が案内しよう。まず教室を出ろ。そして困った顔をしていろ。そうすれば誰かが助けてくれる」
「なるほど……さすが先生ありがとうございます!」
爽やかな笑顔を振りまいて深夜という男子生徒は教室から出ていった。
「何も案内してないですね」
「いいんだよ。あいつには。あいつは馬鹿だから説明したところで理解しない」
「馬鹿?」
「顔はそこそこいいんだろうけど、中身がほんとにバカでな。メガネをかけているがホントはただの馬鹿だ。クラスの女子連中に言われたのも余計なことをするなって意味だろ。学校で道に迷っているのが何よりも証拠だ」  
「あぁ」
「よくあれで部長を務めてるものだ」
「部長?」
「あいつは帰宅部の部長なんだよ」
すごく嫌な顔をして先生はいった。
あぁだから嫌なのか深夜って人のこと。
☆
「ねぇ。シルク」
「なに?真昼姉さん」
「姉さんって辞めてくれる?ほんとの姉弟ではないんだから」
「でも昔からこう呼んでるしなー」
「まぁいいわ。一つ頼みごとを聞いてくれるかしら?」
「うん。いいよ」
「陽向様……んん。瀬尾陽向の周りにいる女の誰でもいいからシルクのその無駄なイケメンを使って落として欲しいのだけれど」
「酷いいいようだね。でも了解。誰でもいいんだよね?」
「えぇ誰でもいいわよ。けどオススメは霧咲夢希って女かしら。あぁいうのはイケメンには弱いのよ」
「嬉しいような、嬉しくないような」
「そして、私はそのスキに陽向様のお近くに……」
「1人だけでいいの?」 
「えぇ。全員居なくなられのも困るから。二人きりだと……恥ずかしいし……緊張しちゃうし……」
「真昼姉さんが何を考えているのか分からないけど分かったよ。任せて」
☆
文化祭まで残りあとわずかという時に事件は起きた。
部室で文化祭に向けて準備しているとコンコンとノックがなる。
「どうぞ」
来客があまり来ないので珍しい。
つか、こんなクソ忙しい時にやめて欲しい。
「失礼します」
「あれ?橘くん?」
来客は橘だった。
みんなの視線を受ける中、橘は一直線に霧咲の前まで行くと
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