これは、皆も知っているテディベアのお話

ノベルバユーザー173744

第2話、テディガール

こんばんは。
覚えてくれているかなぁ、僕の名前。
そうそう、僕はエリオットだよ。
僕のお友達を紹介するね?

今回は、テディガールだよ。
テディガールは優しくて、とっても美人。
素敵で、今は日本の博物館に、住んでるんだ。

なぜかって?

テディガールは世界でも有名なシュタイフのテディベアであるし、それに、とってもテディガールは、賢いんだよ。
1904年に生まれた、テディと言うことだけでは違うんだよ。

元々テディベアは、子供たちのおもちゃとして生まれたんだ。

テディガールは、ボブ・ヘンダーソンと言う人の愛し続けたテディベア。
でも、ボブさんのお兄さんのベアだったけれど、譲ってもらったんだって、本当に大事に大事にしていたんだよ。
ボブさんは、本当にずっと一緒。
ボブさんは、戦争に行くときにもテディガールを連れていったんだ。

昔だからね、でもその写真、戦争に行ったときに、出撃するって言う前に、テディガールと撮ったものだって。
で、普通なら大変でも、先に入って必ずいたんだよ。

戦争の苦しみはあるけれど、ボブさんは戦争が終わらない、世界の終わりになっちゃうと困るから、ちゃんと、任務として戦い……。
そして、軍役が終わると、家に二人で帰ったんだ。

そして、ボブさんは、ボブ・ヘンダーソン大佐と呼ばれているんだ。
ボブさんはもう一人の友人と考えたんだ。

「戦争は終わった。これからは、テディベアを『癒しのベア』として世界中に出ていって、講演や子供たちにテディベアを知って貰おう」

ボブさんは、テディガールと各地を転々として、テディベアは素敵な家族だって言うことを積極的に講演したり、テディベアのことについて知って貰おうと思ったんだ。
それにテディガールは真ん丸の瞳に、赤茶色のモヘアと言う布で作られたけど、その気品、美しさがあるんだよね。
皆は大戦や紛争によってボロボロになった国々、もしくは、生き延びた友達の持ち主を知って、ボブさんは、

「テディベアは皆のお友達で、世界のみなさん、戦争は愚かしいものです。テディベアを見てください」

「子供たちは小さい頃から一人で寝る、その寂しいときに抱っこしてあげられず、しくしくしています。大きくなりませんが、テディベアは、家族のように大事にしてください。平和な世界を作りましょう」

と言うことを、世界中伝えていったんだ。

でも、どうしても戦争は無くならない。
悲しくて泣いていると言っても無理だよね。

そして、いつかは知らないうちに大人になって、年を取る。
ボブさんは、永遠と共にいたいと、死ぬまで愛し続けたんだ。

ボブさんは亡くなったけれど、テディガールは、写真などと共に、オークションに出品された。
そして、日本人の手に渡り、伊豆にあるテディベア博物館に今は静かに時を待っている。

オークションで当時の値段で、1200万円とも、1700万円とも言う価格で、ボブさんの写真や色々な記念品と共に譲られたんだ。
世界中も、その高額のベアとして知られるようになったんだ。

でも、僕は寂しいな……。
お金よりも、何よりも、大事なものはあるよね?
ひとりぼっちは寂しい。

でも、ボブさんの意思を引き継いだ、テディガールがずっと待っているのは、誰だろう……?
ボブさんが又会いに来てくるのかも、知らない。
でもその時に僕も、ボブさんに会えるといいな。
そう思っているよ。

そう言えば、テディガールは最初別の名前で呼ばれていたんだ。
その名前は、

「テディボーイ」

でも、戦争の空き時間などで一緒に行くと、お友だちが、

「テディガール」

と呼ぶようになり、テディガールに名前を変えちゃったんだって。

テディガールに会いに来て?
僕達の兄弟も沢山いるよ。
そして、君たちとピクニックに行こうよ。
そうして『テディベア』の歌を歌って?

僕たちは、口が聞けないからね、だから皆の邪魔はしないよ。
その代わり、疲れて休むときには、寝ちゃうからね。
夜がよくおしゃべりしてる子もいるんだよ。
僕達のお友達は世界中にいるからね?
仲良くしようよ。
それと、腕を引っ張ったりは痛いからね?
それはやめてね?

じゃぁ、今日はおやすみなさい。
いい夢を……。

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