これは、皆も知っているテディベアのお話

ノベルバユーザー173744

さぁ、始まりのはなしをしよう。

テディベア……それは、最初に作られたのは二つの説があり、名前は、ひとつの物語がある。

先ずは、有名なお話だよ。

ひとつめは特に有力な、有名なお話だから、皆知っていると思うんだ。
でも、僕は知っているから皆の知らないことも教えてあげられる自信だってある。
どこかの絵本からそのまま流用したと言うのもちょっと違う内緒の内緒のお話だよ‼

でもね?
本当にゴメンね?
さきに謝っておくよ。
実は、僕は、人の名前を覚えるのがとてもとても苦手なんだ。
特にいっぱい人が集まったらビックリして、困っちゃうんだ。
だからね?
これは僕と君との特別なお話にしておいてね?
お願いだよ?約束。

何故かって?
僕は余り、外に出たことがないし、友達はデットストックとして入ってくる子達ばかりだから。

あ、忘れていたね。
自己紹介は大事だったよね。

僕はエリオットと言う。
もしくはデッドストックのテディベア、選ばれなかったベアとも呼ばれているんだ、悲しいけれど。
なぜかと言うと、僕ともう一人は元々一人ずつしか、旧西ドイツのキーンゲンと言う町工場で生まれなかったからなんだ。

その町工場の創業者はマルガレーテ・シュタイフ。
姉妹達とフェルトで作る様々なものを生み出していった女性だよ。

1847年生まれのマルガレーテは元々体が不自由だったけれど、それにも負けず、当時としては珍しいミシンを手にいれると、不自由な手では駄目だと苦心して、逆向きにミシンを置いて、様々なものを作っていたんだ。

当時一番売れたのは、1880年の象の針刺し、ピンクッションだね。

だから、シュタイフの初期のぬいぐるみの左耳のボタンは、象の模様をしているんだ。
実は3種類ほどあるんだよ?
象のボタンに無地のボタン、今は『steiffシュタイフ』の文字がついている。
ここにはタグと言ってこちらも現在3種類のタグがついている。
これは外しちゃうと、悲しいけれどベアがいつ生まれたか、何人兄弟の何番目か、特別限定か、通常の販売ものかわからなくなっちゃうんだ。
遊んでいて取れちゃった時は、そのタグはしまっておくといい。
後で、直してもらうこともできるし、何時の時におうちに来たのかもわかるんだ。
可愛くないとか言われちゃうけど、皆の耳につけているイヤリングやピアスと一緒。
僕達のファッションだって思ってくれるとうれしいな。

そして、最初はプレゼントのために作った象の針刺しが周囲に広まって、欲しがる人が殺到したんだよ。
マルガレーテの作った最初は小さな町の小さな工場は、家族や近所のおばさんたちがお手伝いに来ていただけだったから人手が足りなくなり、人を雇い、マルガレーテの兄弟や甥達と会社を立ち上げた。

そして、僕達テディベアは1902年に生まれたんだよ。

二つのテディベア誕生説の一つが、このマルガレーテの会社シュタイフ社。
甥のリヒャルト・シュタイフが動物園でデッサンをしていた動物たちのひとつ、ベアル(bёr)……熊を手足が動くリアルなものを作ってみよう、と手足が動くように、あれこれ試行錯誤して生まれたというんだよ。
手足が動くと言うのは、ボタンを付けたものじゃなく、様々な動きを出来るようにと、腕と腕、足と足の間を針金で繋いでみたり、色々試したらしい。
そして、出来上がった作品を、博覧会に出品したものの、リアルなゴツい熊そのものに一般客は引いたんだって……僕達、僕達の兄弟はそんなに恐い顔をしてるのかなぁ?

でも、気に入ったバイヤーが現れたんだよ。
アメリカのバイヤーがまとめて購入していったんだ。

そして、シュタイフ社でも改良を重ねて出来上がったベアは、モヘアと言う上等な毛を織り込んだ布と、瞳はブーツボタン、鼻と口、手足の爪には刺繍が丁寧に、二つの特徴があったんだ。

皆は、テディベアを見たことはあるかな?
手足が繋がっているぬいぐるみじゃないよ?
最近の兄弟たちは可愛い顔をしているし、手足が短くて太かったりするけれど、昔の僕達は、手足が細長くて、首の後ろ……僕達の胴体と首のつなぎ目の辺りには大きなこぶがあるんだ。

「エェ?そんなのないよ?」

と言う子もいるかと思うけど、皆、熊を動物園で見たことある人手をあげて~‼

……あ、返事できないよね?
じゃぁ、動物図鑑を見てみて?

マレーグマや、ヒグマ、シロクマ、多分大きな熊猫と書く、パンダも同じだと思うんだ。

首の後ろから背中にかけて大きく盛り上がった部分。
ここを、元々画家を目指していたリヒャルトはきちんとデッサンしていて、これは特に僕たちのような古い時代の兄弟たちには、こぶがある。

テディベアの博物館もいくつかあるし、図書館に古い時代のテディベアの事典もある。
もし見る機会があったら見てみて?

「あれ?これがテディベア?」

って言わないでね?
きりっとした凛凛しい顔をしているけれど、僕の兄弟たちはとっても優しいんだよ。
それに、もうひとつは、最近の兄弟たちはできるかなぁ?
実はね?
僕の兄弟は四つ足で立てるように出来ているんだ。
だって、僕達は熊なんだもん。
立ち上がることも出来るよ?
噛んだりはしないけど、綿とか、昔はおがくずがカチカチになるほどつまっているから、少々乱暴に扱っても大丈夫。
でも、僕達は皆のお友だちとしておうちに来たんだから、抱っこしてくれるとうれしいなぁ。
一緒にベッドで寝てあげる。
僕達は、小さい子……当時は女の子はお人形があったけれど、男の子のためにって作られたんだ。
小さい頃から一人でおやすみ寂しいもんね。
僕と一緒にいたら、絶対に悪い夢見ないよ。
あ、女の子は駄目なのか?
それはないよ‼
男の子の友達で、女の子ともお友だちだもん。

じわじわと流行が来て、僕達専用のお洋服まで作れる型紙が売られていたらしいよ。
僕はうーん。セーラーカラーの水兵さんも捨てがたいけど、日本の羽織袴……ううん、なんかえっと、甚平って言うのを着てみたいな。

あぁ、そうだった。
最初はね?
シュタイフ社では『熊ちゃん』と言う名前で、売られていたんだよ。

じゃぁ、テディベアと言う名前は?



えっとそれは……ふわぁぁぁ……いっぱい、お話ししたら眠くなっちゃった。
また次に、お話しするね?

おやすみなさい……また明日。

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