ダークエルフさん、俺の家で和まないでください! ~俺はガチャを回しただけなのに~

巫夏希

第十六話 コンタクトをとりましょう

 ――やっぱりゲーム内のキャラクターが出てくると嬉しいですが、すぐにその現実と乖離してしまうと思いますよ。だって、ゲームの中のキャラクターはゲームの中でしかそのキャラクターを活かせないのですから。


 その発言はどこか含みがあって、伏線のようなものを張り付けている、少し気になる発言だった。

「……何か気になるものだとは思いませんか?」

 ルイスの発言に俺はこくりと頷いた。確かにその通りだった。実際、普通はそんな発言を言わない気がする。

「もちろん、これが発言の断定となったわけじゃない。もっと気になったものだってある」

 そしてさらに別のページを見せるルイス。
 それは同じ解答者の、今度は質問のページだった。
 その質問とは、

「もし突然自分の部屋にゲームのキャラクターが出てきたらどうしますか?」
「まだあるわよ」
「現実世界に現れたゲーム内のキャラクターと打ち解ける方法は?」

 どれもほとんどまともな解答など無いのだけれど、すべて、まるで『自分のすぐそばにゲーム内のキャラクターが出てきたような』質問をしている。

「ね、気になると思わない?」
「……確かに気になる。だが……インターネットの中の人間だろ? 残念だと思うが、連絡先が解らないと……」
「すでにSNSのアカウントは判明しているし、リプライも送っているわ」

 し、仕事が早い……!

「なので、もし向こうが解ってくれるのであれば、接触してくるはず。これは確実よ。ええ、確実」

 ……ルイスがそこまで言うのであれば、ちょっと待機してみることにしよう。
 それがほんとうになるのかどうかは、はっきり言って半信半疑だけれど。


 ◇◇◇


 私が家に帰って初めにやることはSNS『リーボイス』のチェックだ。
 リーボイスは160文字以内の『コトノハ』を流すことで『友達』と共有できるソーシャルネットワーキングサービスのことをいう。私はその中だと五百人くらいの友達も居る。もちろん、片方や相互の友達も居て、全部こみこみの計算になるけれど。

「ん……。なんだろ、このリプライ……」

 リプライが来ることなんて、珍しいことじゃない。
 そのリプライにはこう書かれていた。

『ゲーム内のキャラクターと、現実世界で話せるととても嬉しいですよね! 私、ダークエルフなので( ´∀` )』
「……いやいや、そんなわけないでしょ」

 思わずツッコミを入れてしまうリプライだった。
 確かに前半は共感出来るけれど、ダークエルフってリーボイスやってるのそもそも。それってすごく現実世界に馴染み過ぎちゃいませんですか……? 私はそう、思うのだった。
 しかし、はっきり言って――ちょっと気になる。気にならないといえば、嘘になる。
 もし、それが本当ならば――会って話をしたい。

「まあ、すぐに出来るとは思えないけれどね」

 そう言って私は、ベッドの上に横になった。

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