ダークエルフさん、俺の家で和まないでください! ~俺はガチャを回しただけなのに~

巫夏希

第二十九話 話し合いをしましょう 3

 リアライズマスターをあと二人集める。
 それはつまりリアライズ世界の存在をもう二人集める必要があるということ。それは非常に厄介だな。……面倒だと言ってもいい。それが実際に出来るかどうか定かでもないし、どれくらいの時間がかかるか解ったものではない。

「もっと言うならば、その人数を集めるまで私たちは不完全な共同体と言ってもいいでしょう」

 マリアは深い溜息を吐いたのち、お茶を啜る。

「……しかしながら、それは相手……魔王軍も同じことです。魔王軍も、人数が揃わなければ進軍することが出来ない。それが即ちどのような意味を持つか、あなたには解りますか?」
「魔王は……リアライズ世界だけではなくこの世界をも掌握しようと考えているのか?」

 こくり、とマリアは頷いた。
 まあ、魔王というくらいだからそれくらいの考えは持っているだろう。リアライズ世界は完全に掌握できていなかったと思うけれど。この世界はリアライズ世界に比べればリアライズできる存在がいない。当然だ。リアライズマスターがいてこそのリアライズなのだから。

「リアライズ世界はまだ魔王に掌握されていません。それはきっとリアライズマスターたるあなたもよく知っていることだと思います。けれど、いや、だからこそ、かもしれませんが……、リアライズマスターの居る世界を狙いました。リアライズマスターはたくさん居る世界かもしれませんが、リアライズマスターがリアライズ出来るわけではない。あくまでも、その力を私たちに与えているだけに過ぎないのですから」
「確かに……。なら、リアライズ出来るやつがいない世界を狙ってしまったほうが、楽に狙える、ということか……」

 俺は頷く。
 対してマリアは、

「そう。その通りですよ。ですから、今から私たちはともに戦う共同体である必要があります。お解りですか? 騎士ルイスよ。あなたも気高き騎士の一人であるならば、それくらい理解していただきたいものですが」
「あんたねえ……。さっきから聞いていれば、上から目線過ぎるのではなくて。ここがリアライズ世界で、あなたと私が公式の場所であればそれなりの態度を取りましょう。けれどここは違う世界だし、私もあなたも別のリアライズマスターに使役している。つまり立場としてはイコール。もっと言えばあなたは頼みに来ているのだから遜って言うべきだと思うのよ。間違いではないかしら?」

 捲し立てるようにルイスは言った。いや、確かに間違いではないのだが……。それでも、ここはリアライズ世界の立場を優先して鑑みたほうがいいんじゃないのか? というか、お前はリアライズ世界に戻りたくないのかよ。不満はあるかもしれないけれど、先ずはリアライズ世界に戻ることが優先事項じゃないのかよ、そんなことを突っ込みたかったが話が長くなるだろうしややこしくなるだろうから言わないでおいた。

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