ダークエルフさん、俺の家で和まないでください! ~俺はガチャを回しただけなのに~

巫夏希

第二十七話 話し合いをしましょう 1

「どうも……こんにちは」

 扉を開けると、そこに居たのは間庭さんだった。

「どうもー。あ、あんたがダークエルフのパートナー? ちょっとひょろっとしているけれど、男だったらオールオーケイ。最近精気が摂取出来なくて辛いんだよねー」

 そうして、間庭さんの隣には、黒い翼をはやした少女がこちらに手を振っていた。
 コスプレか何かですか、とは今更言えるはずもないだろう。
 間庭さんは一歩前に進み、俺に言った。

「ダークエルフのルイスさんに会わせていただけますか」

 と。


 ◇◇◇


「……ところで、どうしてここが解って、そしてここにルイスが居るって解ったんですか?」

 湯呑を間庭さんの前に置いて、俺は言った。
 一応言っておくと、間庭さんの隣にはサキュバスのマリア、そして俺の隣にはまだ眠たそうな表情のダークエルフのルイスが居る。
 よくぞ聞いてもらいました、と言って間庭さんはスマートフォンを操作し、画面を俺たちに見せた。
 それは質問掲示板の画面だった。そして、そこにはこんな質問がされていた。


 ――もし突然自分の部屋にゲームのキャラクターが出てきたらどうしますか?


「これって……ルイスがスマートフォンを使って投稿したやつ?」

 俺が言うと、ルイスは頷いた。

「ふうん、まさかこんな簡単に接触出来るとは思わなかった。それにしても……サキュバスってことは、ただのレアカードかな?」
「ただのサキュバスとは思わないことよ。アルミシュア神話に語られた『第一の女神』にして、堕ちていった女神のことを忘れているのではなくて?」
「まさか……堕女神マリア……ですって!? 馬鹿な、ウルトラレアじゃない!」

 堕女神マリア。確か去年の夏のイベントで先行配信されたウルトラレアカードの一つだったか。あの時は適度に課金しながらガチャを回し続けたが、まさかのウルトラレア一枚も出ず、で流石にリアライズを辞めようかと悩んだレベルのイベントだったな。
 しかもそのイベントが、堕女神マリアが如何にして堕女神となったか、というのを追想するシナリオだったため、プレイヤーの大半が堕女神マリアを求めていた。ちなみに堕ちる前の女神マリアはスーパーレア。グレードが一つ落ちる。

「まあ、そんなことはどうだっていいのよ。私としてはそんなことよりもこの世界にやってきてしまった理由、それについて考えなくてはならないのだから」

 そう言ってマリアはルイスに訊ねる。

「何だ、知らないのか? この世界にやってきた理由はただ一つ。魔王がリアライズマスターを殺すためにやってきた。そして、その影響が我々にも及ぼされた、ということだ。それくらい知らないのか。ウルトラレアの堕女神のくせに」

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