この異世界は小説でできています
Page.21 旧校舎に潜む闇①
いきなり魔物退治と言われても、イマイチ理解できなった僕だけど、時間もないという事でルナ先輩に付いていく事にした。
「ティアちゃんって、体育祭でアッちゃんと互角に渡り合ったのよね」
その移動途中、ルナ先輩が話しかけてくる。最初は誰に言っているか分からなかったけど、どうやらティアちゃんとは自分の事を言っているらしい。
「互角じゃないですよ全然。私ハクア先輩に手も足も出なかったんですから」
「そうかしら。アッちゃん、すごくティアちゃんの事褒めていたのよ」
「褒めるだなんてそんな。あんな完敗だったのに」
「でも褒めていなかったら生徒会に誘ったりなんかしなでしょ?」
「それも……そうですけど」
僕は未だに何故彼女が生徒会に誘ってきたのか分からなかった。ルナ先輩の言う事は理解できるのだけれど、一体あのどこに褒められるような要素があったのだろうか。
「私騎馬戦は応援席で見ていたけど、アッちゃんの魔法をあそこまで耐えた人って、今まで見た事がないのよ」
「それをほとんど耐えたから、評価されたって事ですか」
「それだけじゃないわ。アッちゃんはあなたの秘密もいち早く見抜いたからこそ、生徒会に誘ったのよ」
「私の……秘密?」
それってもしかして、僕の事を言っているのだろうか。でも、中身が男だなんて普通は考えられないし、もしかしたらユーリティアには僕も知らない何かの秘密が……。
(いや、もしかして……)
ユーリティアのキャラクター設定には、確かある秘密がある事になっている。それは僕自身が考えた事だから、勿論それを知っているわけで……。
(だとしたら、ハクア先輩は……)
何となく彼女が生徒会に誘った理由が分かったかもしれない。
「ほら、そうこうしている内に目的の場所に着いたわよ」
そんな事考えている内に、ルナ先輩が足を止めてそう告げる。僕達がやって来たのはこの学校にある旧校舎。この学校が昔再建される前に使用されていた校舎らしくて、そこで学んでいた生徒達の意向で残しておいたらしい。
いかにも何か出そうな雰囲気はあるけど、こういう所で出るのってどちらかというと……。
「あの、先輩。もしかしてこの旧校舎に出るのって魔物とかじゃなくて」
「さあ、入りましょう」
「あ、ちょっと、スルーしないでくださいよ」
別の意味で嫌な予感がしながらも、僕は先輩と共に旧校舎の中に足を踏み入れるのだった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
旧校舎は時間が夕方なだけあって、薄暗くて如何にもな感じがしていた。
「生徒会の仕事って、生徒からの依頼とかも含まれているんですか?」
「そうね。生徒の意見も聞くのも生徒会の仕事に一環だし、何か困りごとがあれば解決していくのが私達の仕事でもあるの。このおば……魔物の調査もその一つだし」
「今明らかにお化けって言いませんでしたか?」
魔物の調査とか身構えていたけど、それはとんでもない勘違いだったらしい。魔法学校の生徒会の仕事だから、そういう要素もあるとは思っていたのだけれど、急に現実に戻されたようなそんな感覚だ。
(お化けも現実ではないけど……)
二人で調査に来た理由もなんとなく分かる。
「魔法学校だから、それらしい仕事かと思ったんですけど、ちょっと拍子抜けです」
「そんな気を落とす事なんてないわよ。きょうはたまたまそうなだけだし、それに」
「それに?」
「あ、いえ、なんでもないわ。そろそろ依頼された場所に着くから準備しておいてね」
「あ、はい」
そんな感じで僕達がやって来たのは旧校舎の中にある開かずの扉と呼ばれている場所らしい。詳しくは分からないのだけれど、この扉の先に何かが出てくるとかそんな噂が今広まっているという事で、調査に来たみたいだ。
「開かずの扉……確かに何か出そうですけど、どうやって開けるんですか?」
「そんなの決まっているでしょ。こうやって」
そう言ってルナ先輩はドアに向かって正拳突き。するといとも簡単に、開かずだった扉は破られた。
「……」
「さあ入りましょう、ティアちゃん」
「え、えっとルナ先輩、今のは?」
「私の力」
頭から音符が出そうなくらい陽気にルナ先輩は言う。僕は今起きた全てを理解するのに、しばらく時間はかかったものの、それが彼女なのだと自己解決。僕は何も見なかったかのように、ルナ先輩の後をついて行った。
「うわ、臭いですね」
「流石開かずの扉と言われるだけあるわね。いかにもな雰囲気がする」
「怖い事言わないでくださいよ」
開かずの扉の肝心の中は、どんな部屋だったのか分からないくらいの薄暗さと、所々に蜘蛛の巣があって何かが出てもおかしいくらいだった。
「気をつけてティアちゃん。何かいる」
「え? 何かって……」
と僕が言ったと同時に、部屋が大きく揺れ始めた。突然の地震に戸惑いながらも、ルナ先輩から離れないでいると、揺れは一旦収まった。
「何ですか今の揺れ」
「間違いなさそうね。これはアッちゃんの言う通りかもしれない」
「だから何が……」
と言ったら、今度は僕の床が抜ける。
「あ」
と気が付いた時には、僕は穴から落下していた。
「ティアちゃん!」
「ティアちゃんって、体育祭でアッちゃんと互角に渡り合ったのよね」
その移動途中、ルナ先輩が話しかけてくる。最初は誰に言っているか分からなかったけど、どうやらティアちゃんとは自分の事を言っているらしい。
「互角じゃないですよ全然。私ハクア先輩に手も足も出なかったんですから」
「そうかしら。アッちゃん、すごくティアちゃんの事褒めていたのよ」
「褒めるだなんてそんな。あんな完敗だったのに」
「でも褒めていなかったら生徒会に誘ったりなんかしなでしょ?」
「それも……そうですけど」
僕は未だに何故彼女が生徒会に誘ってきたのか分からなかった。ルナ先輩の言う事は理解できるのだけれど、一体あのどこに褒められるような要素があったのだろうか。
「私騎馬戦は応援席で見ていたけど、アッちゃんの魔法をあそこまで耐えた人って、今まで見た事がないのよ」
「それをほとんど耐えたから、評価されたって事ですか」
「それだけじゃないわ。アッちゃんはあなたの秘密もいち早く見抜いたからこそ、生徒会に誘ったのよ」
「私の……秘密?」
それってもしかして、僕の事を言っているのだろうか。でも、中身が男だなんて普通は考えられないし、もしかしたらユーリティアには僕も知らない何かの秘密が……。
(いや、もしかして……)
ユーリティアのキャラクター設定には、確かある秘密がある事になっている。それは僕自身が考えた事だから、勿論それを知っているわけで……。
(だとしたら、ハクア先輩は……)
何となく彼女が生徒会に誘った理由が分かったかもしれない。
「ほら、そうこうしている内に目的の場所に着いたわよ」
そんな事考えている内に、ルナ先輩が足を止めてそう告げる。僕達がやって来たのはこの学校にある旧校舎。この学校が昔再建される前に使用されていた校舎らしくて、そこで学んでいた生徒達の意向で残しておいたらしい。
いかにも何か出そうな雰囲気はあるけど、こういう所で出るのってどちらかというと……。
「あの、先輩。もしかしてこの旧校舎に出るのって魔物とかじゃなくて」
「さあ、入りましょう」
「あ、ちょっと、スルーしないでくださいよ」
別の意味で嫌な予感がしながらも、僕は先輩と共に旧校舎の中に足を踏み入れるのだった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
旧校舎は時間が夕方なだけあって、薄暗くて如何にもな感じがしていた。
「生徒会の仕事って、生徒からの依頼とかも含まれているんですか?」
「そうね。生徒の意見も聞くのも生徒会の仕事に一環だし、何か困りごとがあれば解決していくのが私達の仕事でもあるの。このおば……魔物の調査もその一つだし」
「今明らかにお化けって言いませんでしたか?」
魔物の調査とか身構えていたけど、それはとんでもない勘違いだったらしい。魔法学校の生徒会の仕事だから、そういう要素もあるとは思っていたのだけれど、急に現実に戻されたようなそんな感覚だ。
(お化けも現実ではないけど……)
二人で調査に来た理由もなんとなく分かる。
「魔法学校だから、それらしい仕事かと思ったんですけど、ちょっと拍子抜けです」
「そんな気を落とす事なんてないわよ。きょうはたまたまそうなだけだし、それに」
「それに?」
「あ、いえ、なんでもないわ。そろそろ依頼された場所に着くから準備しておいてね」
「あ、はい」
そんな感じで僕達がやって来たのは旧校舎の中にある開かずの扉と呼ばれている場所らしい。詳しくは分からないのだけれど、この扉の先に何かが出てくるとかそんな噂が今広まっているという事で、調査に来たみたいだ。
「開かずの扉……確かに何か出そうですけど、どうやって開けるんですか?」
「そんなの決まっているでしょ。こうやって」
そう言ってルナ先輩はドアに向かって正拳突き。するといとも簡単に、開かずだった扉は破られた。
「……」
「さあ入りましょう、ティアちゃん」
「え、えっとルナ先輩、今のは?」
「私の力」
頭から音符が出そうなくらい陽気にルナ先輩は言う。僕は今起きた全てを理解するのに、しばらく時間はかかったものの、それが彼女なのだと自己解決。僕は何も見なかったかのように、ルナ先輩の後をついて行った。
「うわ、臭いですね」
「流石開かずの扉と言われるだけあるわね。いかにもな雰囲気がする」
「怖い事言わないでくださいよ」
開かずの扉の肝心の中は、どんな部屋だったのか分からないくらいの薄暗さと、所々に蜘蛛の巣があって何かが出てもおかしいくらいだった。
「気をつけてティアちゃん。何かいる」
「え? 何かって……」
と僕が言ったと同時に、部屋が大きく揺れ始めた。突然の地震に戸惑いながらも、ルナ先輩から離れないでいると、揺れは一旦収まった。
「何ですか今の揺れ」
「間違いなさそうね。これはアッちゃんの言う通りかもしれない」
「だから何が……」
と言ったら、今度は僕の床が抜ける。
「あ」
と気が付いた時には、僕は穴から落下していた。
「ティアちゃん!」
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