この異世界は小説でできています
Page.14 体育祭開幕!
体育祭の開会式、選手宣誓の役目を任されていた僕は、
少し前からレオタード姿になっていた。この学校、生徒の数がそこそこいる為すごく目立つ。
(これってもはや、公開処刑だよ)
さっきから周りの視線がすごく痛い。おまけにこれから選手宣誓のやるというのに、これからどうしろと。
「では続いて選手宣誓、代表ハナティアさんよろしくお願いします」
痛々しい視線に耐え続ける事五分、選手宣誓の時間がやってくる。
「はい!」
僕はしっかりと返事をして生徒達の目の前に立つ。そして一呼吸を置いた後、
「宣誓! われわれ選手一同はスポーツマンシップに則り、正々堂々と戦う事を誓います」
こんな格好の時点でスポーツマンシップもくそもないのだけれど、一度も噛む事もなく選手宣誓をやり遂げる。今までに果たしてレオタードで選手宣誓を行った人物はいただろうか。
 恐らく現実世界でも非現実世界でも自分だけだと思う。
「ユーリティアさん、ありがとうございました」
そして選手宣誓も終わり、準備運動もして開会式も無事終わりを告げる。
「ハックション」
「寒そうですね」
「どこかの誰かさんがレオタードで体育祭を参加させるからよ」
「風邪を引いたのは自分のせいだと思いますけど」
「う、それは……」
正論ではあるので、何も言い返せない。
とにかくこれで無事体育祭は開催される。折角無理にでも参加したのだから、頑張って競技に参加しないと。
「これから頑張るわよキリハ」
「体をガタガタに震わせながら言われましても、困るのですが」
「そこまで言うなら最初から、この格好をさせないでよ!」
「これはこれで面白いので、そのままでお願いします」
「鬼か!」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
体育祭午前の部は、主に障害物競走や徒競走といったものが多く、各学年ごとに全員参加の競技も用意されている僕もそのほとんどに参加する為に、今日まで体作りをしてきていた。
「すごいですお姉様! 流石です」
最初に参加したのは千メートル走。一組五人程で走るのだけれど、僕はぶっちぎりで一位だった。
「そういうイスミだって、一位だったじゃない。何か運動でもやっていたの?」
「文武両道が乙女のたしなみでもございますので、日々体の鍛錬も欠かしていませんでした」
「へえ」
この一ヶ月、イスミと暮らしていて分かったのだけれど、彼女もユーリティアと同様に運動や魔法使いとしての才能にも優れていて、クラス内でも二人目の天才とか言われていてちやほやされていた。
(乙女のたしなみって、何か格好いいなあ)
「お疲れユーちゃん、スーちゃん」
お互いを讃えあっていると、ユナが会話に入ってくる。ちなみにスーちゃんとはユナがいつも呼んでいる、イスミのあだ名だ。ユーちゃんもそうなのだけれど、スーちゃんって何か別の人の名前でが出てきそうだ。
「ユナは次の障害物競争に参加するんでしょ?」
「うん。確かスーちゃんも一緒だからユーちゃんは応援よろしくね」
「勿論! 二人とも頑張っってね」
「二競技連続トップを目指して頑張ります」
「私もスーちゃんに負けないくらい頑張る」
ここで障害物競走に参加する二人とは別れる。次の自分の出番は、ここから二つ先の競技、玉入れ。小学校低学年がやりそうな競技なのだけれど、この競技は少し特殊だった。
入れる玉はたった一つ。それを奪い合って、先にゴールへ入れたほうが勝ち。そんな少し変わった玉入れだった。
「お疲れ様ですお嬢様。体調の方は大丈夫ですか?」
「一位を取れるくらいの元気は残っているわよ」
「じゃあ心配なさそうですね」
自分の席に戻るとキリハがすぐに話しかけてくる。体調は今朝のだるさは少しだけ消えてい、お昼の時に少し休めれば何とか一日乗り切れそうな勢いだった。
「そういえばキリハも玉入れに参加するんでしょ? だったら少し作戦会議しない」
「それはいいですね」
ちなみにキリハは出場競技は少ないものの、得点が高い競技ばかりに参加していて、練習でもメイドとしての本領を発揮している。
「全体的な作戦としては、皆私にゴールは託すみたいだから、いかにして早く決着つけるかよね」
「そこで私考えてみたのですけど、お嬢様折角ですので空を飛んでみてはいかがでしょうか?」
「空を……飛ぶ?」
「はい。しかも魔法の力ではなく人の力で」
そう言ってキリハは空を飛ぶための原理を僕に説明した。確かにそれなら可能というか、飛ぶことは可能だけど、それって飛ぶというよりは……。
「大きな壁を越える時とかに使うあれよね」
「はい。あれです。他の皆さんには玉を拾ったらすぐに上空に投げるように伝えておきました」
「それを私が空中でキャッチして、ゴールに入れると」
「そういう事です」
「できるかな」
「できますよ」
果てしなく不安なんだけど、その作戦。
十分後、玉入れの本番。
「行くわよキリハ!」
「はい、お嬢様」
僕はキリハの腕の力を使って空を飛んでいた。まさか本当に作戦がうまくいくとは。
「させないわよ!」
「え?」
空中に上がった玉を見事にキャッチしようとした所に、同じようにして飛んできたであろうサキの姿が見える。
「その作戦はお見通しよ、ユーリティア」
「っ、サキ」
体育祭第五種目玉入れ。玉と人間二人が舞うこの空で、僕とサキが初めて対峙する。
少し前からレオタード姿になっていた。この学校、生徒の数がそこそこいる為すごく目立つ。
(これってもはや、公開処刑だよ)
さっきから周りの視線がすごく痛い。おまけにこれから選手宣誓のやるというのに、これからどうしろと。
「では続いて選手宣誓、代表ハナティアさんよろしくお願いします」
痛々しい視線に耐え続ける事五分、選手宣誓の時間がやってくる。
「はい!」
僕はしっかりと返事をして生徒達の目の前に立つ。そして一呼吸を置いた後、
「宣誓! われわれ選手一同はスポーツマンシップに則り、正々堂々と戦う事を誓います」
こんな格好の時点でスポーツマンシップもくそもないのだけれど、一度も噛む事もなく選手宣誓をやり遂げる。今までに果たしてレオタードで選手宣誓を行った人物はいただろうか。
 恐らく現実世界でも非現実世界でも自分だけだと思う。
「ユーリティアさん、ありがとうございました」
そして選手宣誓も終わり、準備運動もして開会式も無事終わりを告げる。
「ハックション」
「寒そうですね」
「どこかの誰かさんがレオタードで体育祭を参加させるからよ」
「風邪を引いたのは自分のせいだと思いますけど」
「う、それは……」
正論ではあるので、何も言い返せない。
とにかくこれで無事体育祭は開催される。折角無理にでも参加したのだから、頑張って競技に参加しないと。
「これから頑張るわよキリハ」
「体をガタガタに震わせながら言われましても、困るのですが」
「そこまで言うなら最初から、この格好をさせないでよ!」
「これはこれで面白いので、そのままでお願いします」
「鬼か!」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
体育祭午前の部は、主に障害物競走や徒競走といったものが多く、各学年ごとに全員参加の競技も用意されている僕もそのほとんどに参加する為に、今日まで体作りをしてきていた。
「すごいですお姉様! 流石です」
最初に参加したのは千メートル走。一組五人程で走るのだけれど、僕はぶっちぎりで一位だった。
「そういうイスミだって、一位だったじゃない。何か運動でもやっていたの?」
「文武両道が乙女のたしなみでもございますので、日々体の鍛錬も欠かしていませんでした」
「へえ」
この一ヶ月、イスミと暮らしていて分かったのだけれど、彼女もユーリティアと同様に運動や魔法使いとしての才能にも優れていて、クラス内でも二人目の天才とか言われていてちやほやされていた。
(乙女のたしなみって、何か格好いいなあ)
「お疲れユーちゃん、スーちゃん」
お互いを讃えあっていると、ユナが会話に入ってくる。ちなみにスーちゃんとはユナがいつも呼んでいる、イスミのあだ名だ。ユーちゃんもそうなのだけれど、スーちゃんって何か別の人の名前でが出てきそうだ。
「ユナは次の障害物競争に参加するんでしょ?」
「うん。確かスーちゃんも一緒だからユーちゃんは応援よろしくね」
「勿論! 二人とも頑張っってね」
「二競技連続トップを目指して頑張ります」
「私もスーちゃんに負けないくらい頑張る」
ここで障害物競走に参加する二人とは別れる。次の自分の出番は、ここから二つ先の競技、玉入れ。小学校低学年がやりそうな競技なのだけれど、この競技は少し特殊だった。
入れる玉はたった一つ。それを奪い合って、先にゴールへ入れたほうが勝ち。そんな少し変わった玉入れだった。
「お疲れ様ですお嬢様。体調の方は大丈夫ですか?」
「一位を取れるくらいの元気は残っているわよ」
「じゃあ心配なさそうですね」
自分の席に戻るとキリハがすぐに話しかけてくる。体調は今朝のだるさは少しだけ消えてい、お昼の時に少し休めれば何とか一日乗り切れそうな勢いだった。
「そういえばキリハも玉入れに参加するんでしょ? だったら少し作戦会議しない」
「それはいいですね」
ちなみにキリハは出場競技は少ないものの、得点が高い競技ばかりに参加していて、練習でもメイドとしての本領を発揮している。
「全体的な作戦としては、皆私にゴールは託すみたいだから、いかにして早く決着つけるかよね」
「そこで私考えてみたのですけど、お嬢様折角ですので空を飛んでみてはいかがでしょうか?」
「空を……飛ぶ?」
「はい。しかも魔法の力ではなく人の力で」
そう言ってキリハは空を飛ぶための原理を僕に説明した。確かにそれなら可能というか、飛ぶことは可能だけど、それって飛ぶというよりは……。
「大きな壁を越える時とかに使うあれよね」
「はい。あれです。他の皆さんには玉を拾ったらすぐに上空に投げるように伝えておきました」
「それを私が空中でキャッチして、ゴールに入れると」
「そういう事です」
「できるかな」
「できますよ」
果てしなく不安なんだけど、その作戦。
十分後、玉入れの本番。
「行くわよキリハ!」
「はい、お嬢様」
僕はキリハの腕の力を使って空を飛んでいた。まさか本当に作戦がうまくいくとは。
「させないわよ!」
「え?」
空中に上がった玉を見事にキャッチしようとした所に、同じようにして飛んできたであろうサキの姿が見える。
「その作戦はお見通しよ、ユーリティア」
「っ、サキ」
体育祭第五種目玉入れ。玉と人間二人が舞うこの空で、僕とサキが初めて対峙する。
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