Opening Is Empty

些稚絃羽

呼吸

僕たちはいつだって
不幸せにならないために息をした

沈殿した鈍色の空気を食んで
青々と繁る命に語りかける
瞼の隅がしつこく震えるけど
空に唄う声を思い出した
今日の空は何色だろう

鼓動が淀みなく鳴る それだけで
誰かの明日を祈れるから

閉じた窓の隙間から
寄り添うような冷気が伸びる
手に浮かぶ標が疼くけど
掠れた細い文字を思い出した
今も変わらずやさしいだろうか

指先が互いに絡まる それだけで
誰かの愛を祈れるから

僕たちはいつだって
不幸せにならないために息をした

  

コメント

コメントを書く

「詩」の人気作品

書籍化作品