Opening Is Empty

些稚絃羽

Rainy

降り続く雨の中歩き出すの 傘もささず
通り過ぎる車が水しぶきを上げて
嗤うようなクラクションが遠い
色を塗り重ねていく雲間から
僅かな光も漏れそうにはなくて
乱そうと手を振る私はきっと
まぬけなポーズの道化師だ

赤い 黒い 青い 傘が
ぶつかって煽られて飛んでって
自由な空の旅だなんて
そんなわけにもいかなくて
街路樹の先 所在なく
一枚花弁の花が咲く

仕方ないと背を向けて 数分後には次の傘
代わりは幾らでもあるのだと
刃の突き立つ喉が痛い
その陰で未練たらしく空を仰ぐ
つぶらな瞳は光のようで
眩しさに視界が霞んだ

虹が出るには足りない光が
雨を少しだけ柔らげて
鼓動の音を大きくさせる
伸ばした手に掴んだ傘が
その光を瞬かせるから
もう少しだけ雨の中を歩こう

  

コメント

コメントを書く

「詩」の人気作品

書籍化作品