Opening Is Empty

些稚絃羽

ナモナキ

触れもせずに消した灯火を
触れられては弾いた温もりを

その記憶の中 
呼び起こすことはできますか
揺らぐ炎はカタチを失って

耳を傾けなかった過去の話を
目を向けなかった未来の事を

その頭の中
思い浮かべることができますか
カタチ亡き思いは浮遊して

塞いだ息吹に付した名前を
込めた力に宿した感情の意味を

その唇の先
声にすることができますか
始まりの慈愛をカタチにして


胸を打つ拳がその手を止める時
ふたたび、の言葉はないのです
涙はただの分泌物で
謝罪はただの言葉なのです

掌の固い感触を解いて
柔らかな肌を撫でてほしい
不器用で歪なその指で
伝えられるはずの愛を奏でて

  

コメント

コメントを書く

「詩」の人気作品

書籍化作品