Opening Is Empty

些稚絃羽

“I wish you a gentle dream”

すべては遠く思えた
電子の距離も 警笛の音も
凍えそうなあなたの声も


楽しいことが沢山あった
産声のように叫んだこともあったけど
上書きされずにずっと
ひとつずつを大切に守ってきた

強い言葉に打たれたり
弱い言葉に奮い立ったり
忙しい毎日は
磨り減るそばから足されていった

理解わかっていたのに
小さなことで
どうして理解らなくなるのだろう
すり替わる不確かな意味が
重なる度
色濃い怪物になっていく


すべては遠く思えた
電子の距離も 警笛の音も
凍えそうなあなたの声も


砂の粒子に紛れるような
些細な気持ちは0カウント
築けないから届かないの?
落とした雫もやがて渇いて

いつか風がすべてを奪い去るなら
それでもいい
ただこの瞬間だけは
蔑んでもいいから見逃して

弱さの分
涙は笑顔に変えて
あなたの声
心に焼き付けて

嘘の本当が本当になって
本当に本当が嘘になって
ごちゃまぜの世界の中にも
美しい花は咲くのだと
誰かの言葉
文字か声かもワカラナイけれど

何かに触れる指先が
温かいような 冷たいような
きっとそのどちらかだ
世界はわりと容易いから
今日は温かさを信じよう
それが今日の本当になる


すべては遠くなっていく
電子の距離も
警笛の音も
あなたの声だって
もう消えてしまうけれど
いつかの景色 描いたみたいに
始まる夢の中で
何度だって思い出したいの
あなたが言った優しい言葉は
内側でなおも響き続けて

すべては遠くなっていく



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