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些稚絃羽

( gibberish )

薄い壁に映し出される、鮮明な記録
褪せる思い出
映写機から伸びる筋は栄光のようで
動く僕は人形のようで
すべて消し去ってしまいたかった

命の宿らない記憶の中に
どんな意味があると言うの?
過ぎ去った時間を幸福と呼ぶなら
そんな不確かなもの 僕は要らない

失う瞬間を想像したら
凍えるほどに痛くて
だから透き通って汚れない今のまま
限りないお別れをしよう
いずれそれが過去に変わり
何かが後ろ髪を引くとしても
振り返っても見えないものに
惑わされる心は僕にない

誰も触れないままで消えていくなら
きっとそれが本当の幸福
風化することを躊躇うのは
他人ヒトの心から消える自分を見るからだ
それのなにを恐れるの?
砂漠の砂も風に舞ったなら新たな山を築くのに

薄い壁を叩きつけて
いつか消える粒子をばら撒いて
すべては星になるように
高く高く飛び上がる

あのひとは過去に置いてきて
取り残した自分は連れてきて
弱い脆い自分をゼンブ
行き先はみんな未来にしよう
手当たり次第に壊しながら
壊れないなにかを作っていこう

今はただ深い眠りの中へ

  

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