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些稚絃羽

君のために

君のために何ができるだろう
星ひとつ見えない曇り空を見つめて溜息を零す
そんな君のために僕は何ができるだろう

かけられる言葉がないから やかんに火をかけた
大きめのマグカップに糖度高めのココアを入れて
ミルクも多く入れたから 甘い一息つくといい

君のために何ができるだろう
向かいの屋根に隠れる月の光を見失った
そんな君のために僕は何ができるだろう

生み出す手立てはないから それを手に入れた
容量が限界になるまで目映い月の写真を撮って
見失う度、何度でも 照らす光を見せてあげる

君のために何ができるだろう
窓を全部閉めきって自分の掌しか見なくなった
そんな君のために僕は何ができるだろう

甲斐性なしの僕だから どうしようもないけれど
できることがあるとするならただその手を握っていよう
僕の顔を見上げるまで この感触を覚えるまで

君のために何ができるだろう
荒れる心に疲れ果てて机に突っ伏して遂に眠った
そんな君のために僕は何ができるだろう

ベッドメイクが無意味でも 風邪たけはひかないように
太陽の光を沢山浴びたふかふかの毛布を掛けるから
その心まで暖まるように 背中をずっと撫でていよう

君のために何ができるだろう
見上げた空が蒼いように
明日の君が笑えるように
君のために何ができるだろう



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