Opening Is Empty

些稚絃羽

DIGITAL

形取られた電子脳デジタルを睨んで
簡単に広まっていく五十音の並びを
組み立てては 組み替えて
最初の原型はとうに消えて

急き立てられるよう湧きだした言葉
示すべきでない濁音さえも
一度手の内見せれば最後だ、って
あの時知ったはずなのに

お綺麗な人形を飾り立てて
のっぺらぼうに名前を刻んで
その影にひっとり隠れてみても
横たわる自身の影までは
どうしたって消せやしない

叩いて弾いて 待って 待って
貰えない見える証に息が詰まりそう
拭っては撒いての繰り返しも
QにかけるAを知らない
それじゃ配点は望めないらしい

刻んだ時間 重ねた言葉
並べて比べて 頭抱えて
どうすりゃいいの! 叫んだ深夜も
理不尽な世界との出会いの朝で
必ずしも全てはイコールじゃないと
突きつけられる妥当な夜だ


電子脳デジタルの基盤はぶれにぶれて
漏れだした液体が脳内に絡みついて汚染する


それなら何もかも投げ出せるのか、って
問われれば そんなはずもなくて
馬鹿馬鹿しい世迷言を前に
平伏すなんてまっぴらご免だ

欲しいのは夢うつつな戯言じゃなくて
帳消しにする真っ新な sign
聞こえない声も読み取るから
アマイカライ蜜を吐いて?
酔わせる美酒を捧げてみせる

形取られた電子脳デジタルを見つめて
複雑に進んでく五十音の並びを
組み立てては 組み替えて
最終形態を作っていく
目指す場所へ走っていく

 

コメント

コメントを書く

「詩」の人気作品

書籍化作品