続 他称改造人間になった俺

チョーカー

島崎邸へGO

 学校が終わり、俺と島崎美鈴は島崎家に向かっていた。
 さすが、お嬢様!車で送り迎えだ!?運転手つきのロールスロイスだ!
 しかし、妹かもしれない女性を前に、はしゃぎたい気持ちを抑えながら大人しく乗っている。
 なんでだろうか?この子と二人きりになると沈黙が多いなぁ。
 元々、島崎浩一郎と島崎美鈴は、こんな関係なのだろうか?
 「・・・・・・」
 「・・・・・・」
 何か、重い空気を変えたいが、言うべきことが思い浮かばない。
 ギャグとか言ったら睨み殺されそうだしなぁ。
 重い沈黙のまま、車は走り続ける。
 学校から10分。高層ビルがたたずむ都会から徐々に離れていく。
 学校から20分。民家が周りに増えてきた。
 学校から30分。周囲に緑が増えている。コンクリートが少なくなっている。
 いつまで進むんだ? そんな疑問が表情に出たのかもしれない。
 「もう周囲は島崎家の敷地に入ってますよ。本宅まで1~2分くらいですね」
 島崎美鈴は淡々と説明する。さも当たり前のように・・・
 車で分単位で走るくらい広い家なのか。嗚呼、やっぱりコイツもお嬢様なんだよねぇ。
 まるで漫画で出てくる金持ちの描写みたいだ。
 冗談みたいな屋敷の前に車が止まると中から人が数人でてきた。
 執事&メイド達。本当に雇ってるんだ。
 車から降りると執事とメイドの全員が俺を見る。全員が同じ驚きの表情だ。
 学校から車に乗るときも、同じ表情を運転手が浮かべていた。やはり、俺の顔は島崎浩一郎と同じなのだろう。 中には「ぼっちゃん」と小さな声を上げている人もいる。
 どうすればいいのだろうか?何か声をかけるべきなのか? そう考えたが美鈴は使用人たちを無視して屋敷に入って行った。俺は慌てて後を追うことにした。

 外観から想像した通り、内装もとんでもない事になっていた。
 マジで女性の肖像画を階段に飾ったりするんだ! 
 室内で噴水って湿気とかどうなっているんだ?
 さらに室内でブランコってどうかしてるだろ?これ?
 いろんな場所に目を奪われるが、足を止めたら美鈴においていかれそうだ。
 ここ、迷子になったら出るまで時間かかるぞ。素直に美鈴について行く。
 ある扉の前で美鈴の足が止まる。特に変わった様子のない普通の部屋みたいだ。
 「ここが兄さんの部屋なんですよ」
 その言葉に俺は静かに息を飲んだ

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