続 他称改造人間になった俺

チョーカー

電話と現在

 『もしもし、久しぶりだな』
 「ご無沙汰しています。どうしたんですか?みゆきさん?」
 久しぶりに柳沢みゆきから電話があった。
 『風の噂で初任務を受けるって聞いてな。体の調子はどうだ?』
 「思ってた以上にすごいですね。この体・・・」
 俺の体は、改造されてる。 と言っても特撮ヒーローみたいな改造人間ではない。
 遺伝子ドーピングという薬物やら手術やらを受けたらしい。自分の意思で受けたわけではないので、自分でも完全に理解できてるわけではない。
 IGF-1という筋肉を成長させるもの。 ミオスタチンという筋肉の成長を制限する遺伝子の排除。
 とりあえず、俺の頭で理解できたのは、ここら辺のレベルだ。
 『体の調子ってそう言う意味じゃないんだがな。 まぁ元気そうでなによりだ』
 「あぁ、すいません。でもいいんですか?」
 『ん?なにがだ?』
 「今の俺って敵対組織の一員ですよ?」
 柳沢みゆきは、俺が拐われ改造された時に救ってくれたメンバーの一人だった。  
 その後、九郷用くごうようの登場よって、袂を分かつ事になるのだが・・・
 『いや、普通の企業とかライバル企業でも敵対してるのは上層部で、下っ端はお互い仲良く情報交換してるなんてよくある話だろ?』
 この人、敵対組織の人を問答無用で銃殺しようとしてたよね?
 「そういうものなんですか?」
 『そういうものだ。お前のことだから、そっち側に行ったことを負い目に思ってるかもしれないが気にするなよ』
 「・・・」 
 図星だった。俺が選んだのは、打算的な理由で裏切り者と罵倒されても当然だったはずだ。
 『結局、私達と一緒にいて記憶を取り戻そうとしてたら、血で血を洗う抗争劇の先頭に立ってたんだ。あんたの判断は間違いじゃないよ』
 しかし、彼女は優しく、気遣ってくれる。 
 でも、俺の後ろめたさはなくなることはないだろう。 俺が選んだ選択肢はそういうものだ。
  『あと、桜花と野見も気になってるようだ。たまには連絡でもしてやれ』
 「え? 桜花さんはフォロワーですし、野見さんはマイミクですよ?」
 『なっ・・・』
 「なっ?」
 『なに、非合法組織の人間がSNSやってるんだ!』
 みゆきさんの怒鳴り声が響き、電話は切れてしまった。
 さて・・・
 今日から初任務だ。

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