New Testament
15
リニックたちが扉を開けると、そこには何もなかった。
「……なんだ。拍子抜けしたよ」
そう言ってリニックは部屋の真ん中までとぼとぼと歩いていく。その姿は無防備そのものだった。
それを見て、立ち止まったままのレイビックは、この状況に違和感を感じていた。誰も居ない部屋ならあんな南京錠を付ける必要等ないし、次の部屋がボスか何かの部屋ならば、そちらに鍵を付ければよい。こう考えていけばいくだけおかしな話である。
「……待て」
その時だった。彼女たちの耳に“聞き覚えのある”声が響いたのは――。
それから少し遅れて、ちょうどレイビックが立っている位置の真逆に、一人の少女が突然現れた。彼女はシスターの服装だったが、しかしそれでもリニックとレイビックがそれを見間違うわけはなかった。
「……エスティ……さん?」
そこに居たのは――他でもないエスティだった。
「良かった……。いったい何処に行っていたんだい……とは言えない状況だろうね」
「……私はあなたの言うエスティなどではありません。私の名前はファウロ。以後お見知り置きを……などと下らない挨拶をする必要もないでしょう。何故ならあなたたちは……ここで死ぬのですから」
パチン、とファウロが指を鳴らすと何処からともなく影が現れた。影はただの影ではなく、容姿は真っ黒だらけの人であり、彼らは屈強な存在だった。
だから、この迷路に等しいルーニー教本部を歩いたリニックたちを拿捕することなど造作も無かった。
「どういうことだ……エスティ!」
リニックが言うと、ファウロは高らかに笑う。
「だから言ったでしょう? 私の名前は、エスティ等ではなくファウロだと。……それにしてもあなたたちは幸運だ。これから教祖様直々にお会い出来るのだから」
「……何だと?」
エスティ――ファウロの言ったことがほんとうだとすれば、リニックは教祖とやらに直接レイビックのことを言うことが出来る。それは彼らにとって、チャンスでもあった。
だからこそ、彼らは素直にそれに従った。甘い考えだとは解っていても、今の彼らにはそんなものしかすがるものが無かったからだ。
彼らが連れて行かれたのは、ファウロが立っていた後ろにある扉を抜けた先にあった部屋だった。
「あと一部屋でゴールだったらしいな……」
リニックは呟いて、シニカルな笑みを浮かべる。これは漸くこの場所に辿り着いたという達成感よりも、こんなところで捕まってしまったという自分への嘲笑という点の方が強かった。
部屋は両側に水を湛えた部屋になっていた。部屋の奥にはそれぞれ小さな滝が設置されており、さらさらと流れる水音が常に部屋を満たしていた。
そしてその真ん中には道があり、浮島のように楕円に広がる空間がある。古い神話には水を割った人もいるそうだが、大方それの模倣にも思えるものだった。
「……何処だよ? お前たちのボスというのは」
リニックが訊ねると、誰も居なかった椅子に突然何者かが現れた。転移魔法によるものだが、もうリニックはそんなもので驚きはしなかった。
ほの暗く、その顔までは見えなかった。だが、リニックにはその口がニヤリと緩んだことはどうしてか見ることが出来た。
「私が、このルーニー教の教祖だ。名前は……いや、言わなくてもいいか。ただ、ここではこう呼ばれているよ。『カーディナル』、とね」
そして、カーディナルはゆっくりと立ち上がり、リニックたちの方へと歩いていく。ゆっくり、ゆっくりと。一歩ずつ、確りと歩いていく。リニックとレイビックは、それをただ眺めることしかしなかった。
はじめこそ、ファウロたちから「カーディナルさまがわざわざ患わせなくとも……!」と言っていたが、カーディナルに右手で制されると、もう何も言えなくなっていた。
そして、漸くカーディナルの顔がリニックにも見えるところまで彼女はやってきた。恐るべきことに、彼女の見た目はまだ十代のそれだった。そして、彼女は他のシスターたちとは違い、純白の布を羽織っていた。裏を返せば、それ以外はまったく何も身に付けていなかった。しかし、それを恥ずかしいと思う様子など彼女にはなかった。
カーディナルは、先ずリニックよりもレイビックよりもメアリーの方を見た。メアリーは何が起きているのか解っておらず、ただ声にもならない嗚咽を漏らすだけだった。
「ふふふ……懐かしいのう、メアリー。何年ぶりだ? 確か私がお前の錬金魔法に倒されて……ちょうど百年だったかな?」
カーディナルの顔は悪戯心を持つ少女のような笑みだった。
そして、思い出したかのようにカーディナルは言う。
「あぁ、そうか。……トワイライトとやらに精神を犯されたのだったな。ならば、私のことは思い出せないか。錬金魔法も使えやしないか! なんとも滑稽な事だろうか!」
カーディナルはそう言って、高らかに笑う。どうやら、カーディナルとメアリーは認識があるようだった。
「……まさかあんたも百年越えの長生きだとか?」
リニックはシニカルに微笑み、呟く。直ぐにファウロたちに「失敬な!」と激昂され、頭を強引に下げさせられる。対して、カーディナルはまた高らかに笑う。
「……お主、百年などと短いスパンで私を語るんじゃない。確かにこの身体になってからではまだ一年も満たないが……、私の年齢は既に千を越えている。なに、腐ってもカミの子孫というわけだ。魂が七十年とか八十年とかで滅びやしない」
「千年……だと?」
カーディナルの言葉に、リニックは信じることが出来なかった。百年を超えて生きるのは、治癒魔法の延長上で可能なことなので、不可能ではない。しかし、千年となれば話は別だ。相当な精神に、魔力を必要とするためである。こういうことからも、不老不死とは叶わぬ夢であることがまじまじと見せつけられる。
「……だから、不老不死は叶わない。ヒトはいつか死ぬと? そんなことは戯言よ。生きる手段を知らないだけ。動物は皆生に執着する。それは人間だって変わらない。誰も彼も限りある命だが、その『限り』ってものを引き延ばすことの出来る手段を知れば……きっと、いや、確実に誰もが実行するに違いない。人間とは、そんな醜い存在なのだから」
カーディナルの話は続く。
「私だって例外ではない。私たちはかつて『祈祷師』と呼ばれていた。カミに祈りを捧げ、願いを届けることや、カミサマの声を聞く職業だった。……だが、いつからか私たちはその存在意義を訝しむようになった。『我々はほんとうにこのままでいいのだろうか?』とな。カミという存在は絶対的で、不可侵だ。だが、そうでいいのだろうか? 果たしてそのままでいいのだろうか? ……そうは思ったことがないかな?」
「……生憎、カミサマってものはまったく信じていないものでね」
リニックが言うとカーディナルは小さく微笑む。
「まぁ……それもよかろう。カミというものは、強制的に信じなくてはならないというものではないからな。寧ろ、そうしている傾向にあるのはカミの風上にも置けぬ愚神を崇拝する宗教だらけだ」
カーディナルの言うことは、正直言って理解に苦しむものだった。それはもしかしたら信じるカミなど居ないリニックだからこそ、理解出来ないのかもしれなかった。
「……カミというのは、かつては心が、意志が弱い人間が依り代にして生きていくために造られた空想上の物体だ。だが、この時代、今は違う。カミは確かに存在した。しかし、空想などで信者がほざく不老不死ではない。老いはしないが、死ぬ。私だってそうだ。ほんの少し……ヒトより寿命が長いだけだ」
千年という長さの何処が『ほんの少し』なのだろうかとリニックは言おうとしたが、今そんなことを言うのは野暮だと判断して、どうにか堪える。
しかし、千年も生きられるなら、それは『不老不死』といってもいいのではないだろうか。リニックは考える。千年というのは、普通寿命が八十年程の人類からいえば、途方もない長さだし、それを考えるのは難しいことだ。
「だがね……私はもう身体が持たなかった。だから、今の身体がある。魔法や錬金術を一通り研究したあなたならば、解るのではないかな?」
その言葉を聞いて、リニックは思わず凍りついた。
「ねえ……あのカーディナルが言ったのは、いったいどういうことなのよ」
レイビックが訊ねると、リニックは口を震わせ――答えた。
「カーディナルが行っているのは……『降霊』という行為だ。漢字で書いたとおり、『霊が降りる』行為。そして、それを張り付けることでその身体を乗っ取ることが出来るのではないか……という研究があってね。結局は倫理的な問題もあったりして中止に追い込まれたはずだったんだが……」
「アースで中止になったとしても、この星ならば可能だ。私には数々の信者が居る。そいつらの中から一人生け贄を……最近は二年ほどのペースだったか、魂の鍵が外しにくくなってきたものでね、生け贄を選んだあとは降霊の儀式を行い、魂を入れ換える。こうして元の私の身体には新しい身体の元々の持ち主が入り、私は新しい身体にその魂を入れることとなる」
「そんなこと、人間がやっていいと思っているのか!?」
「逆だ。……人間だから、やっていいのだよ。カミとやらに我々人間は創られ、幾度となく滅ぼされ、幾度となく蘇った。それは他ならない、人間がカミと同等の立場に立ったことを意味しているのではないだろうか? カミは既に居ない。ならば……私が、人間が、カミと名乗っても造作もないのだよ」
「そんなことは……間違っている」
「精々ほざいていろ。私にはこれから、計画の最終段階に入る。止められても困るから、その連中を殺しておけ」
その言葉にファウロたちは敬礼した。それを見て、カーディナルは振り返り、部屋の奥へと歩く。
「何をする気だ!?」
リニックの言葉に、カーディナルはただ微笑むことしかしなかった。
「どうせ私が言っても君たちに止めることなど……出来まいよ」
そしてカーディナルは部屋の奥に消えた。
「……なんだ。拍子抜けしたよ」
そう言ってリニックは部屋の真ん中までとぼとぼと歩いていく。その姿は無防備そのものだった。
それを見て、立ち止まったままのレイビックは、この状況に違和感を感じていた。誰も居ない部屋ならあんな南京錠を付ける必要等ないし、次の部屋がボスか何かの部屋ならば、そちらに鍵を付ければよい。こう考えていけばいくだけおかしな話である。
「……待て」
その時だった。彼女たちの耳に“聞き覚えのある”声が響いたのは――。
それから少し遅れて、ちょうどレイビックが立っている位置の真逆に、一人の少女が突然現れた。彼女はシスターの服装だったが、しかしそれでもリニックとレイビックがそれを見間違うわけはなかった。
「……エスティ……さん?」
そこに居たのは――他でもないエスティだった。
「良かった……。いったい何処に行っていたんだい……とは言えない状況だろうね」
「……私はあなたの言うエスティなどではありません。私の名前はファウロ。以後お見知り置きを……などと下らない挨拶をする必要もないでしょう。何故ならあなたたちは……ここで死ぬのですから」
パチン、とファウロが指を鳴らすと何処からともなく影が現れた。影はただの影ではなく、容姿は真っ黒だらけの人であり、彼らは屈強な存在だった。
だから、この迷路に等しいルーニー教本部を歩いたリニックたちを拿捕することなど造作も無かった。
「どういうことだ……エスティ!」
リニックが言うと、ファウロは高らかに笑う。
「だから言ったでしょう? 私の名前は、エスティ等ではなくファウロだと。……それにしてもあなたたちは幸運だ。これから教祖様直々にお会い出来るのだから」
「……何だと?」
エスティ――ファウロの言ったことがほんとうだとすれば、リニックは教祖とやらに直接レイビックのことを言うことが出来る。それは彼らにとって、チャンスでもあった。
だからこそ、彼らは素直にそれに従った。甘い考えだとは解っていても、今の彼らにはそんなものしかすがるものが無かったからだ。
彼らが連れて行かれたのは、ファウロが立っていた後ろにある扉を抜けた先にあった部屋だった。
「あと一部屋でゴールだったらしいな……」
リニックは呟いて、シニカルな笑みを浮かべる。これは漸くこの場所に辿り着いたという達成感よりも、こんなところで捕まってしまったという自分への嘲笑という点の方が強かった。
部屋は両側に水を湛えた部屋になっていた。部屋の奥にはそれぞれ小さな滝が設置されており、さらさらと流れる水音が常に部屋を満たしていた。
そしてその真ん中には道があり、浮島のように楕円に広がる空間がある。古い神話には水を割った人もいるそうだが、大方それの模倣にも思えるものだった。
「……何処だよ? お前たちのボスというのは」
リニックが訊ねると、誰も居なかった椅子に突然何者かが現れた。転移魔法によるものだが、もうリニックはそんなもので驚きはしなかった。
ほの暗く、その顔までは見えなかった。だが、リニックにはその口がニヤリと緩んだことはどうしてか見ることが出来た。
「私が、このルーニー教の教祖だ。名前は……いや、言わなくてもいいか。ただ、ここではこう呼ばれているよ。『カーディナル』、とね」
そして、カーディナルはゆっくりと立ち上がり、リニックたちの方へと歩いていく。ゆっくり、ゆっくりと。一歩ずつ、確りと歩いていく。リニックとレイビックは、それをただ眺めることしかしなかった。
はじめこそ、ファウロたちから「カーディナルさまがわざわざ患わせなくとも……!」と言っていたが、カーディナルに右手で制されると、もう何も言えなくなっていた。
そして、漸くカーディナルの顔がリニックにも見えるところまで彼女はやってきた。恐るべきことに、彼女の見た目はまだ十代のそれだった。そして、彼女は他のシスターたちとは違い、純白の布を羽織っていた。裏を返せば、それ以外はまったく何も身に付けていなかった。しかし、それを恥ずかしいと思う様子など彼女にはなかった。
カーディナルは、先ずリニックよりもレイビックよりもメアリーの方を見た。メアリーは何が起きているのか解っておらず、ただ声にもならない嗚咽を漏らすだけだった。
「ふふふ……懐かしいのう、メアリー。何年ぶりだ? 確か私がお前の錬金魔法に倒されて……ちょうど百年だったかな?」
カーディナルの顔は悪戯心を持つ少女のような笑みだった。
そして、思い出したかのようにカーディナルは言う。
「あぁ、そうか。……トワイライトとやらに精神を犯されたのだったな。ならば、私のことは思い出せないか。錬金魔法も使えやしないか! なんとも滑稽な事だろうか!」
カーディナルはそう言って、高らかに笑う。どうやら、カーディナルとメアリーは認識があるようだった。
「……まさかあんたも百年越えの長生きだとか?」
リニックはシニカルに微笑み、呟く。直ぐにファウロたちに「失敬な!」と激昂され、頭を強引に下げさせられる。対して、カーディナルはまた高らかに笑う。
「……お主、百年などと短いスパンで私を語るんじゃない。確かにこの身体になってからではまだ一年も満たないが……、私の年齢は既に千を越えている。なに、腐ってもカミの子孫というわけだ。魂が七十年とか八十年とかで滅びやしない」
「千年……だと?」
カーディナルの言葉に、リニックは信じることが出来なかった。百年を超えて生きるのは、治癒魔法の延長上で可能なことなので、不可能ではない。しかし、千年となれば話は別だ。相当な精神に、魔力を必要とするためである。こういうことからも、不老不死とは叶わぬ夢であることがまじまじと見せつけられる。
「……だから、不老不死は叶わない。ヒトはいつか死ぬと? そんなことは戯言よ。生きる手段を知らないだけ。動物は皆生に執着する。それは人間だって変わらない。誰も彼も限りある命だが、その『限り』ってものを引き延ばすことの出来る手段を知れば……きっと、いや、確実に誰もが実行するに違いない。人間とは、そんな醜い存在なのだから」
カーディナルの話は続く。
「私だって例外ではない。私たちはかつて『祈祷師』と呼ばれていた。カミに祈りを捧げ、願いを届けることや、カミサマの声を聞く職業だった。……だが、いつからか私たちはその存在意義を訝しむようになった。『我々はほんとうにこのままでいいのだろうか?』とな。カミという存在は絶対的で、不可侵だ。だが、そうでいいのだろうか? 果たしてそのままでいいのだろうか? ……そうは思ったことがないかな?」
「……生憎、カミサマってものはまったく信じていないものでね」
リニックが言うとカーディナルは小さく微笑む。
「まぁ……それもよかろう。カミというものは、強制的に信じなくてはならないというものではないからな。寧ろ、そうしている傾向にあるのはカミの風上にも置けぬ愚神を崇拝する宗教だらけだ」
カーディナルの言うことは、正直言って理解に苦しむものだった。それはもしかしたら信じるカミなど居ないリニックだからこそ、理解出来ないのかもしれなかった。
「……カミというのは、かつては心が、意志が弱い人間が依り代にして生きていくために造られた空想上の物体だ。だが、この時代、今は違う。カミは確かに存在した。しかし、空想などで信者がほざく不老不死ではない。老いはしないが、死ぬ。私だってそうだ。ほんの少し……ヒトより寿命が長いだけだ」
千年という長さの何処が『ほんの少し』なのだろうかとリニックは言おうとしたが、今そんなことを言うのは野暮だと判断して、どうにか堪える。
しかし、千年も生きられるなら、それは『不老不死』といってもいいのではないだろうか。リニックは考える。千年というのは、普通寿命が八十年程の人類からいえば、途方もない長さだし、それを考えるのは難しいことだ。
「だがね……私はもう身体が持たなかった。だから、今の身体がある。魔法や錬金術を一通り研究したあなたならば、解るのではないかな?」
その言葉を聞いて、リニックは思わず凍りついた。
「ねえ……あのカーディナルが言ったのは、いったいどういうことなのよ」
レイビックが訊ねると、リニックは口を震わせ――答えた。
「カーディナルが行っているのは……『降霊』という行為だ。漢字で書いたとおり、『霊が降りる』行為。そして、それを張り付けることでその身体を乗っ取ることが出来るのではないか……という研究があってね。結局は倫理的な問題もあったりして中止に追い込まれたはずだったんだが……」
「アースで中止になったとしても、この星ならば可能だ。私には数々の信者が居る。そいつらの中から一人生け贄を……最近は二年ほどのペースだったか、魂の鍵が外しにくくなってきたものでね、生け贄を選んだあとは降霊の儀式を行い、魂を入れ換える。こうして元の私の身体には新しい身体の元々の持ち主が入り、私は新しい身体にその魂を入れることとなる」
「そんなこと、人間がやっていいと思っているのか!?」
「逆だ。……人間だから、やっていいのだよ。カミとやらに我々人間は創られ、幾度となく滅ぼされ、幾度となく蘇った。それは他ならない、人間がカミと同等の立場に立ったことを意味しているのではないだろうか? カミは既に居ない。ならば……私が、人間が、カミと名乗っても造作もないのだよ」
「そんなことは……間違っている」
「精々ほざいていろ。私にはこれから、計画の最終段階に入る。止められても困るから、その連中を殺しておけ」
その言葉にファウロたちは敬礼した。それを見て、カーディナルは振り返り、部屋の奥へと歩く。
「何をする気だ!?」
リニックの言葉に、カーディナルはただ微笑むことしかしなかった。
「どうせ私が言っても君たちに止めることなど……出来まいよ」
そしてカーディナルは部屋の奥に消えた。
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