Cat's World

りょう

After World⑤

part5
1
「私皆に迷惑かけてた。でもここ何日か考えて、ようやく決心がついた」
皆の前で話し始めるチル。
彼女の決心とは、何なのだろうか?
「私やっぱりお母さん達の所に戻る」
「お前、やっぱりそうやって…」
「ただ私だけじゃない。クポとムムも一緒に」
「え?」
「今までは自分の事だけを考えていた。でもミケからムムとかの想いを聞いて、二人を無視する事は出来なくなったの。家を手放すのは寂しいけれど、これが私が出した答えだから。ついて来てくれるかな?」
彼女らしい答えだと俺は思った。
これなら何一つ失うものはない。それに幸せだって手に入れる事ができる。まあ二匹の答え次第だけど。
「そんなのついて行くに決まってるじゃないですか。私達は家族なんですから」
「うん。クポもついて行くぅ」
「ムム、クポ…」
二匹は当然のように答える。当たり前か…。
「じゃあ、これでこの話はお終い。折角の大晦日だし盛り上がろうよ皆」
一旦落ち着いた後ユキがまとめる。
「だな。俺達はその為に来たし」
「準備はできてますよ」
「んじゃ、年明けまでノンストップで行くぞぉぉ」
『おー』
こうして無事チル達の問題は解決し、俺達は大晦日という一大イベントを楽しんだ。
2
「振り返るとなかなか楽しかったなあの世界」
「そうだねえ」
猫を撫でながら俺は優紀に話す。あの後大晦日と正月を過ごした俺達は、ニャンコワールドに別れを告げ、再び元の世界に戻ってきた。
今はコタツに入りながら優紀と思い出を語っている。
「でもよかったよね。チルちゃん達一緒に居られる事になって」
「だな」
一枚の写真を見ながら俺と優紀はそんな会話をする。
時々あっちの世界から手紙が届く。どうやったら届くのかはよく分からないが、そこには近況などが書かれていて、今回は一枚の写真が入っていた。
それは、チル、クポ、ムム、チルの両親が幸せな笑顔で写っている写真だった。
                               Cat's World After world 完

「その他」の人気作品

コメント

コメントを書く