Cat's World

りょう

第29匹 Home

                      第29匹 Home

1
という事でまだ歩き慣れない俺は
、チルに肩を借りながら帰宅。
「み、ミケさん!」
ムムは帰ってきた俺を見るなり、抱きついてきた。
「ほ、本当にミケさんですよね?
本当に」
「ああ。ただいまムム」
「おかえりなさい」
ムムもチルと同じ様な笑顔を俺に向けた。俺、本当に帰ってこれてよかった、この世界に…。でもまあ、目的を果たしたらこいつらとも…。
「どうしたのミケ」
「あ、いや何でもない」
本当のお別れをしなければならない。なんせ俺はまだ人間として、あっちの世界では生きているのだから。まあ…。
「今日はミケが帰ってきたから、パーティよ!」
「はい!」
二人のこの嬉しそうな顔を見ると、そんな事は今考える必要ないと思うけどな。
2
で、パーティは長時間続く事になり…。
「あーあ、ムム寝ちゃったか」
「丁度時間も時間だし終わりにしようか」
ムムがいつの間にか眠ってしまったので、パーティはそこで終了。俺はチルと二人だけになったリビングで色々と雑談をした。
「ねえミケ」
「ん? どうした?」
「あの時私が勝手な事をしなかったら、ミケはこんな目に合わなかったのかな」
「ああ、その話か。全然気にすんなよ」
「え?」
「俺は俺がしたかった事をした。ただそれだけの話だ。別にお前のせいだなんて一片たりとも思ってないからな」
「でも、私があの時殺されそうになったのは、ちゃんと帰宅しなかったからだよ?」
こいつこういう時だけは、ネガティブ思考だよな。前のブラックキャットの襲撃時もそうだったし。
「俺が気にすんなって言ってんだから、ぐだぐた言うなよ。こうして戻ってきたんだからさ」
「ミケ…」
「それに…あ、いや何でもない」
「? 何?」
「何でもないから気にすんな」
「あ、うん…」
こいつにはまだまだ話してない事がある。安易に喋ったら、こいつがいつおかしくなるか分からない
。だから今は我慢しなければ、我慢を…。
しかし翌日の正午過ぎ…。
「こんにちわ。チルさんの調子を見に来たのですが…」
「あ、ユキさん」
「チルお姉ちゃんこんにちわ。あれ? ミケお兄ちゃんもいるよお母さん」
「ど、ど、どうしてミケさんがここに?」
最悪だ…。
3
「じゃあミケさんは消えたはずなのに、復活したんですか?」
「そうなんです。私すごく嬉しくて泣いちゃいましたよ」
「すごいミケお兄ちゃん」
「あ、ああ」
おいおい、あまりにも予想外すぎるだろ! でもまあ、チャンスは何度もないはずだし…。
「あのユキさん、ちょっと話があるので俺の部屋に来てくれませんか?」
「私に話ですか?」
「はい」
ここで俺は一発勝負に出る事にした。
「ミケ?」
                               第30匹 優紀とユキ へ続く

コメント

コメントを書く

「その他」の人気作品

書籍化作品