Cat's World

りょう

第23匹 星型のペンダント

             第23匹 星型のペンダント

1
俺はずっと持ち続けていたある物を取り出す。
それは、チルと王室に行った時に彼女の父から渡された星型のペンダントだった。
「これ何なのか知らないか?」
「こ、これって…」
チルはそれを見るなり、目を見開いて驚いていた。何だ何だ、チルもこれに見覚えがあるのか?
「これ私のお父さんから貰った?」
「ああ。王室に訪れた時に貰った」
「これ、私も小さい頃に貰ったよ…」
「お前も貰ったのか?」
「うん」
「どういう事なんだ…」
チルならともかく、俺がもらった理由が分からない。だからと言って、俺ら以外に持ってるやつなんて居るわけ…。
と、その時突然何かが頭をよぎった。
(よく考えたらこのペンダント…)
どこかで見た事があると思った。このペンダントを俺は、この世界で見た事がある。
(あの時、あの言葉に違和感があると感じたのは気のせいじゃない)
彼女は言った。
『ここに来て初めての友達だった』と。最初は引っ越ししてきただけかと思っていたが、この世界は引っ越しをする程街がない。ブラックキャット王国から来たのは尚更あり得ない。なら彼女は一ヶ月前にこの世界に来た事になる。それを考えると、このペンダントは…。
「元々人間の世界で存在した物だったんだ」
「え? どうしたのいきなり」
「なあチル、この前会ったユキさん覚えているだろ?」
「うん」
「俺の記憶が正しければ、彼女もこのペンダントをしていた」
「え? 本当に?」
「ああ」
俺は今考えた事全てを説明した。
「それってつまり…」
「そう。ユキさんも一ヶ月前にこの世界に来た人間だったんだよ。今は猫だけど」
「でもそれとペンダントは関係ないと思うけど」
「いや、関係あるんだよ。彼女は一ヶ月の間に初めて出来た友達がクポの母親だと言っていた。つまり、他の猫とは接触していない。
拾ったと言っても偶然すぎる。誰かが持っていたって事もないだろう」
「まあ確かにそう考えると、そういう結論になるけど、一つだけ変じゃない」
「ああ。俺も一つ変だと思った」
「何で元は人間の世界でユキさんが持っていた物と全く同じ物をお父さんが持っていて、それを私達に渡したんだろう」
もしかしたらニャンタ王国、いやこのにゃんこワールドには何か重大な秘密があるのかもしれない。ある事に気付いてしまった俺にとっては、尚更の事だった。
(もしそれが本当なら、この事は全て解決する。でも…)
本当だったとしても、どうやって説明すればいいのだろうか?
「どうしたのミケ?」
「あ、いや。ちょっと考え事をしていただけだから、気にすんな」
この事実を…チルに。
                        第24匹 そこなし計画 3 へ続く

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