ルームメイトが幽霊で、座敷童。
人間と幽霊の相互関係
碧さんはゲームが大好きだ。『三度の飯より〜』とかって言うがまさにその通りだ。幽霊はある程度なら食わなくても生きていけるからな。
そんなわけだから、俺は碧さんにゲームの環境を与え、それならばしょうがないなと碧さんは俺を手伝ってくれるわけだ。知識を与えてくれたり、さっきのように『分離』を行使するなどその力は計り知れないわけだがその大部分は、『碧さんの気まぐれ』によって、であるから結構気が抜けない。
結局は碧さん任せにはそう簡単に出来ない状況、だと言うことだ。それさえ出来てしまえば俺は大分楽に仕事を出来るんだが。
――と、こんな無駄話をしている間に海馬王明の身体は完全に“霧”と化した。
「……これでチェックメイトだ」
海馬王明を倒せば、神憑きはあのメンバーの中には居ない。
つまりはもう全てを倒してしまったと同義であるのだ(資料には幾人かがまだ居るのだが、一般人であることは確定しているから特に問題にするほどでもない)。
「今回は大分楽だったなぁ」
「そりゃ今回は私の力を借りたからでしょ。そうじゃなきゃまだまだ時間はかかってた」
随分と手厳しい御言葉を入れられてしまったな……とかそんなことを思いながら、俺は出口へと向かった。
「――いつから、勝てたと思っていた?」
そんな言葉を聞いて、俺の額には冷や汗が浮かび出た。
今聞いた声は確かに――海馬王明だった。なぜ、あいつの声がした? あいつは今さっき、俺の目の前で確かに死んだはずだった。霧となり、消えたはずだった。なのに、なぜ?
「海馬……王明?」
「いつから私を倒したつもりで居た」
「……お前は確かに霧になって死んだはずだろう!?」
「少しは見当違いのことを考えてみるのもいいかもしれんぞ? ……少なくとも、今のは結論にかすりもしないものだ。それを結論と言うなら……それもそれでいいだろう」
海馬王明の声は、それから聞こえなくなった。
あいつは何が言いたかったんだろう。言うだけ言って逃げていった。そういうことを言うのでもない……と思うし、そうだろうと思う。
「……とはいえ、これからどうする? あれが本物ではないなら、これらを操っている親玉が居てもおかしくない。そいつを討伐するのが、もっとも効率的なやり方だと思うんだが?」
「その通りだから、今それを実行しようと思っていたわけなんだが」
……だが、それをやろうにも海馬王明自体の存在は何処かに消えていた。
これはいったいどういうことなのか? 俺たちにはまったく解らなかった。
「――少しは見当違いのことを考えたほうがいいかもしれんぞ?」
俺はふと海馬王明の言葉を思い出した。
見当違いのこと。
そして、あいつらが開発したものはなんだったか?
――『ホープダイヤモンド・ゲーム』という呪いのゲーム。カメラで写真を撮られた人間は、カメラに魂を吸い取られ、ゲームに閉じ込められる。
つまり、つまり。
俺はそこでひとつの結論を叩き出した。
「……もしかして俺たちは『ホープダイヤモンド・ゲーム』に閉じ込められた、ってことなのか……!」
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