ルームメイトが幽霊で、座敷童。

巫夏希

エピローグ・日常の帰還と状況報告

 かくして。
 俺達はELOに着いて状況報告をするに至った。

「……諸君、ご苦労さまであった。私がELOの最高顧問であるヴェルデッド・グライアズである。……長官がすこし遠い場所に行っていてな。申し訳ないが、私が代わりに話を聞くこととなった」
「そうですか……、では」

 祐希の発言と共に、俺達は今まであったことの報告をした。
 『笛吹き男』の正体と、『ソドム・ゴモラ』との関係性。
 『人工進化研究所』における人道に反する計画。
 俺の知っているすべての情報を言った。
 ただし、ある情報だけを残して。

(『偉大なる巨人』計画……)

 俺は報告も終わり、休憩室でコーヒーを飲んでいた。ドイツの缶コーヒーは日本とは違ったものである。

「よっ、どうした?」
「姉ちゃん」

 姉ちゃんが同じコーヒー缶を持って、俺の隣に座った。言っておく。フラグではない。

「……おまえ、何も隠していないよな?」
「な、何を言うんだよ」

 急に核心をついた言葉を言われて、俺の心の中は爆発しそうだった。
 これを、姉ちゃんに言ってもいいのだろうか。
 これを、共有してもいいのだろうか。

「……姉ちゃん、実は……!」

 俺が言葉を紡ごうとした――そのときだった。

「あっ、ここにいましたか恵梨香さん」
「ありゃ、祐希どうしたの?」
「ちょっと日本から国際電話があったらしくて」
「えー、まさか日本でも厄介なことがあったんじゃないでしょうねー」
「知りませんよそんなことー」

 わいわいがやがや。
 ……まあ、祐希が場を和ませてくれたようで、よかった。

 ――明日には、ここを離れる。
 ああ。
 日本ではもう少しゆっくりできればいいのにな……。









ドイツ・猿の手編

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